感染後に回復し、ウイルスが体の中からなくなってもなお、長期にわたって「新型コロナウイルス感染症の後遺症(Long Covid)」に悩まされる人は、ますます増加している。世界中の感染者数が膨大な数にのぼることを考えれば、その数はすでに数百万人に達している可能性がある。
英国家統計局(ONS)が4月初めに公表した調査結果によると、昨年中に感染した同国内の2万人以上の人のうち、感染から5週間後の時点で後遺症があった人は、5人に1人。12週間後でも、7人に1人に何らかの症状があった。
感染から5週間後の人に最も多かった症状は、倦怠感(11.8%)。続いて咳(11%)、頭痛(10%)、筋肉の痛み(7.7%)、味覚と嗅覚の喪失(どちらも6.3%)となっていた。さらに、いずれも割合はわずかに低下していたものの、12週間後にも同様の症状が報告されていた。
ONSはこの調査結果から、英国内で後遺症に苦しんでいた人は、今年3月初めまでに100万人を超えていたと推計している。
他国でも同様の報告
一方、これまでの研究から、新型コロナウイルスは心血管から肺、精神・神経系、腎臓、その他に至るまで、驚くほどさまざまな影響を人体に、そしてその臓器系に及ぼすことがわかっている。
全米各地の病院の研究者らが行った研究でも、後遺症の症状には、倦怠感や息切れ、ブレインフォグ(頭にもやがかかったような状態)、嗅覚・味覚の喪失、不安、うつ、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、頭痛・片頭痛、熟睡できない、などがあることが確認されている。
この研究結果をまとめた論文の著者らは、後遺症を訴える患者の治療方法に関するガイドラインを提示。身体的・精神的な健康の回復を支えるため、複数の専門分野から総合的にアプローチすることが必要だと呼び掛けている。