今回は、酒類クラスター「大軽井沢経済圏」の無限の可能性」というテーマで、解説編とインタビュー編(長野県小諸市小泉市長)との二回に分けて、地域活性化、将来のリゾートテレワーク・ワーケーションの可能性を予見していく。
地域経済活性化のための地域連携の重要性
地域経済活性化を実現するには、地域資源を最大限活用し、エリア全体で盛り上げていく事が重要だ。長野県は77もの市町村が有る。全国47都道府県で見ると、北海道が最も多く179、次に多いのが長野県だ。全国平均が35なので、長野県は自治体がいかに多いかがわかる。自治体の数だけ地域活性化戦略があるので、なかなか広域で考えづらいのが現状だ。
軽井沢と周辺エリアとの関係を経済的側面から見ると、相互依存関係にあると言える。宿泊業・飲食業・販売業・不動産業・建築業・土木業など周辺エリアから軽井沢に働きに行く人は年間を通じて多い。朝夕の車の渋滞を見れば明らかだ。
一方、軽井沢在住の人は商業施設が集積している佐久市に買い物に行く人が多い。また千曲川ワインバレー一帯にはワイナリーだけではなくレストラン・温泉も多く、軽井沢から行く人も多い。浅間サンライン沿いは、小諸市・佐久市・上田市内を一望、遠くにアルプスや八ヶ岳・蓼科山を望み、天気が良ければ富士山も望める絶景ポイントも有る。魅力的な観光コンテンツの多いこのエリアを軽井沢をゲートウエイとして考えると、車で1時間以内、しなの鉄道でも30分程度で行ける近いエリアだ。
ワイン用ぶどうの生育に恵まれた天候を有する千曲川ワインバレー(東地区)。中でも小諸市には日本最標高のワイナリーがあり、標高700m~950mで栽培されるぶどうは高品質で、醸造されるワインの評価も急激に高まってきている。
共感が未来をつくる シルクからワインへ
長野県は江戸時代から養蚕(シルク)が盛んで、1911年には全国トップの桑園面積(桑は蚕の重要な餌)を有していた。その後ライフスタイルの変化や外国産の安いシルク製品の台頭等により、一気に衰退していった歴史がある。
そのような経緯の中で長野県は、「シルクからワインへ」をコンセプトに、荒廃した畑(桑畑の跡)の再生とワイン醸造を軸としたエリア全体の地域振興活動を進めていった。それが「信州ワインバレー構想」だ。
塩尻氏周辺の「桔梗ヶ原ワインバレー」、松本・安曇野・大町一帯の「日本アルプスワインバレー」、南信州の「天竜川ワインバレー」と、千曲川流域の「千曲川ワインバレー」と4つに分類、それぞれの地域の特性を生かしたワイン生産に積極的に取り組んでいる。