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フランス政府は2021年4月10日、短距離の国内航空路線を禁止する法案を発表した。旅客機による二酸化炭素(CO2)排出を削減することを目的としたこの法案は下院を通過しており、あとは上院の承認を待つのみだ。

この法案が可決されれば、列車を使って2時間半未満で移動できる行き先へのフランス国内路線は廃止される。これは、輸送市場に対する大規模な介入だ。とはいえ、現代的な鉄道インフラがある程度整備されている国であれば、いたって合理的で納得のいく措置であり、旅客輸送市場自らがそれをかなり前から証明している。

例えばスペインでは近年、高速鉄道網が張りめぐらされ、大部分の都市がつながるようになったため、2時間ほどの航空路線は大幅に減っている。また、列車であれば、乗客の待ち時間は航空機よりもかなり短くなるうえに、駅もどちらかといえば都市中心部にかなり近い。マドリッドやバルセロナなら、町のど真ん中に鉄道の駅がある。そして何より、列車ならCO2の排出量が大幅に削減できるのだ。

欧州環境機関(EEA)のデータによると、列車の場合、乗客1人が1マイルを移動した際のCO2排出量は14gだ。それに対して、同じ条件で乗客が航空機で移動した際のCO2排出量は285g、内燃機関を使用した自動車なら158gが排出される。旅程にもよるが、列車で移動すれば、CO2排出量が最大で90%も削減される。

フランス政府は、CO2排出量を2030年までに1990年比で40%削減することを目標に掲げている。今回の法案を批判する側からは、パンデミックで航空会社が莫大な損害を被っている時期にこのような決断を下すべきではないという声が多く上がっている。ただし、フランス政府が2021年4月6日に、同国航空最大手エールフランスに40億ユーロ(約5200億円)を拠出することを発表した点にも注目すべきだ。昨年1年間に盛んに飛び交った憶測によると、エールフランスが国内路線の減便計画を受け入れることが、拠出の条件だったと言われている。

他国に目を向けよう。例えばノルウェーは、旅客機によるCO2の排出削減を目指して野心的な計画を立てている。ノルウェーの目標は、2040年までに国内路線を完全電動化することだ。これが実現すれば、排出量は2020年比で80%削減されることになる。

輸送機関のCO2排出削減は、地球全体の排出量を減らすうえで私たちの前に立ちはだかる主要な課題のひとつだ。実のところ、フランス政府はもともと、列車を使って4時間未満で移動できる範囲の航空路線を廃止するという提案を検討していた。この措置が実現していたら、フランスという国の規模を考えた場合、国内航空路線のかなり多くが廃止されていたはずだ。

近い将来、他国でもフランスと同様の対策が導入されると見ていいだろう。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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