重量が2キログラムに満たない小型ドローンのインジェニュイティは、2月に火星に着陸したNASAの探査機「パーセブランス」によって運ばれ、現在は火星の表面に置かれている。製造と運用に8500万ドル(約93億円)が費やされたこの機体は、最初の30日間で最大5回の飛行を予定している。
インジェニュイティは、当初の予定では4月10日に初飛行を行う予定だった。しかし、小さな異常が発生したため、14日以降に延期された。今回のテスト飛行は小規模なもので、短いホバリングを行った後に、安全に地上に落下する。その模様はNASA TVで中継される予定だが、正確な日時は未定だ。
これまで他の惑星の大気の中を飛行した乗り物は存在せず、インジェニュイティの初飛行は歴史的な瞬間になる。この偉業を祝うため、インジェニュイティには1903年にライト兄弟が飛ばしたライト・フライヤー号の翼に使われていた布の切れ端が搭載されている。
初飛行が成功すれば、今後数週間のうちに複数回の飛行が実施される予定で、1回あたり最大90秒の自律飛行が行われる。最初は低空飛行だが、後には数百メートルの高さの飛行も想定されている。
NASA/JPL-CALTECH/ASU
インジェニュイティにはカメラが搭載されており、上空から撮影した火星の映像も期待できる。同時に、探査機のパーセブランスのカメラで撮影された、インジェニュイティの姿も捉えられる予定だ。
インジェニュイティは、ソーラーパネルでバッテリーを充電する時間が必要なため、飛行は1日1回に限られるが、実現すれば人類にとって非常に大きな前進となる。