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取材中、Forbes JAPANの表紙と同じポーズを取ってくれたオードリー・タン

国際的イベントを控え世界から注視されている日本で、図らずも旧態依然とした性差別が明るみに出ては海外に発信されるという事例が頻発している。女性はもちろん、LGBTや障害を抱えた人たちなどマイノリティが抵抗なく活躍できるダイバーシティとインクルージョンの環境を実現するにはどんな方策が有効なのか。

トランスジェンダーであることを公表している台湾のデジタル担当大臣オードリー・タン。性的マイノリティとしてマジョリティに馴染めなかった苦しみを乗り越え、今では台湾のITの最前線に立つ彼女へ、Forbes JAPAN Web編集長 谷本有香が聞いた。

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谷本有香(以下、谷本):現在の日本政府や大企業の中では、マイノリティが重要なポジションを手にしている例がまだ数少ない状況です。女性問題は少しずつ改革ができてきていますが、LGBTや身体的な障害を持っている人たちに関しては、まだまだハードルが高く、改革は非常に難しいというのが現状です。オードリーさんはそうした問題をどのように改革していったら良いと思いますか?

オードリー・タン(以下、オードリー):台湾ではLGBTQIの運動はフェミニストの運動家からもサポートされていて、お互いに助け合いながら活動を続けてくることができたんです。ですから、決してゼロからの活動というわけではなく、相互に協力し合うことで、女性は社会的に高い地位を獲得することができました。

働く質という問題で話をすると、たとえばLGBTQIだからといって低賃金で働かなければならなかったり、カミングアウトすることで社会的な立場が危うくなったりするというようなことはありませんでした。これはとても幸運なことだと思っています。つまり、皆が相互に理解、協力し合ってものごとを推進していくことが一番大切なことだと思います。

谷本:では、ダイバーシティ推進はどのようにしていけば良いのでしょう?

オードリー:いわゆる「普通」と言われている場所で、さまざまな経験を持った人たちが関わりながらダイバーシティを推進していくことが、まずは最初の一歩だと思います。マジョリティの人たちがセクシャルな問題を抱えた人たちをいじめる行為を見たときに「それはダメだよ」と声をあげて諭すような行動が大切で、そうした声の積み重ねがコミュニティや社会の中で差別とかいじめをなくす草の根的な活動に繋がります。

そうした中で、メディアや、本を通して情報発信をする人たちは、社会に根強くはびこるステレオタイプ思考を変えていくという意味で、とても大きな役割を果たす大切な存在だと思います。

文=賀陽輝代 構成・編集=谷本有香

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