ターゲティングはどう行う?
以前から、ラジオ広告など音声を用いた広告は存在してきた。しかし電波に乗せて一斉に配信するラジオとは異なり、個々のスマートフォンで音声メディアのコンテンツを聞く時代には、聞く人のターゲティングを行うことが可能になった。
例えばSpotifyでは、年齢や性別、よく聴く音楽ジャンルといったデータから、ユーザーに合わせた広告を流すことができる。
さらにスマートフォンのIPアドレスや位置情報から、ユーザーがいる地域の時間帯や天候、気温、エリアの状況に合わせて音声広告のCMを変化させる「ダイナミックオーディオアド」も登場しており、さらに細かくパーソナライズ化した配信が可能になった。
例えば、「暑い晴れた日の夜、住宅街を歩くリスナー」に向けてはビールの音声広告を、「暑い晴れた日の朝、オフィス街を歩くリスナー」にはアイスコーヒーの広告を、といった具合だ。
このようにして一度音声でリーチした後、バナー広告でリターゲティングするなど、聴覚と視覚で連携して広告を打ち出すことなどもできる。八木はこう解説する。
「音声広告はデータが測りにくく、効果が見えにくいと言われてきましたが、 音声広告を聞いた人が、別の導線で購買や申込みを行った行動をトラッキングする間接コンバージョン計測も可能です。例えば何店舗もあるチェーン店でも、特定店舗の数キロ圏内にターゲティングして音声広告を配信することもできます。さらに実際にその店舗に訪れたかどうかも、位置情報から来店コンバージョンを取ることができます。ここ1年ほどではブランディングの用途以外にも、成果を求める出稿も増えてきています」
日本はガラパゴス?
音声広告やポッドキャストなどの音声コンテンツも含め、音声市場拡大の震源はアメリカだ。Clubhouseの爆発的普及に伴い、音声コンテンツは日本でも注目され始めたが、海外と日本での使われ方に違いはあるのだろうか。
IAB調べ(オトナル作成)
デジタルインファクト調べ(オトナル作成)
音声メディアの日本ならではの使い方として、語学系のコンテンツが人気なのが特徴的だという。
「広告ではないですがコンテンツで圧倒的に海外と違うなと思うのは、英語ですね。日本人は英語を学ぶためにオーディオを聞く人がかなり多くて、上位ランキングに他言語のニュースなどが上がってくるのは海外にはない傾向です。広告の面白い事例では、生徒を集めるためのある学校のCMで、英語学習に力を入れてることをアピールするために実際にネイティブの人に喋ってもらうというものがありました」