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英国で発見された「B.1.1.7」と呼ばれる新型コロナウイルスの変異株は、ほかの変異株よりも感染力が強いだけでなく、致死率も高いことが明らかになった。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院(LSHTM)の研究者らのチームが15日、科学誌「ネイチャー」で発表した。この変異株はすでに世界90カ国以上に広がっており、研究者は「他国も引き続き警戒する必要がある」と注意を促している。

B.1.1.7は昨年秋に英国で初めて確認され、12月までに米国を含む数カ国でも見つかった。その後、ほかの変異株よりも感染力が強いことが判明。昨年末には英国で支配的な変異株になり、感染拡大の第2波をもたらした。これにより、英国は人口10万人あたりの新型コロナ死者数が世界で2番目に多くなっている。

英国の第2波の死者数がひときわ多かったことから、科学者たちはかねてB.1.1.7は感染力が強いだけでなく、致死率も高いのではないかと疑っていた。LSHTMの調査研究で、それが正しいことがほぼ確認された。

研究では、英国で新型コロナで死亡した5000人近くのウイルスの遺伝データを調査した。うち3分の2はB.1.1.7への感染が確認されている。その結果、B.1.1.7への感染者は、検査で陽性反応が出てから28日以内に死亡するリスクがほかの変異株への感染者よりも55%高いことがわかった。

論文のリードオーサーであるLSHTM感染症数理モデルセンターのニック・デイヴィーズ助教は、「イングランドは過去数カ月、B.1.1.7によってたいへん大きな被害を受け、2021年1月と2月だけで新型コロナの死者は4万2000人に達しました」と説明。「治療面で大きな進歩があったにもかかわらず、2021年の死者数はすでに2020年のパンデミック開始後8カ月間よりも多くなっています。わたしたちの研究はその理由の解明に役立つものです」と述べている。

B.1.1.7をめぐっては先週、地域社会での感染者を対象とした英国の別の研究でも、感染確認から28日以内の死亡率がほかの変異株よりも高いという結果が示されていた。

英国の第2波は収まってきており、感染者、死者ともに減少している。また、英国ではワクチンの接種を少なくとも1回受けた人がかなりの数にのぼっていることから、第3波では被害を抑えられると期待されている。

より懸念される状況にあるのは、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランドといった国々だ。これらの国はB.1.1.7などによる第3波に見舞われているうえ、ワクチンの接種もあまり進んでいない。

デイヴィーズは「B.1.1.7はほかの変異株よりも感染力が強く、わたしたちの研究では、より深刻な病気を引き起こすことの強力なエヴィデンスも得られました」と述べ、英国以外の国も警戒を続けるべきだと警鐘を鳴らしている。

幸い、これまでに開発されたワクチンはB.1.1.7にも高い有効性があるようだ。米国をはじめとする多くの国は、ワクチン接種を迅速に進めることで、B.1.1.7への感染拡大を抑制したい考えだ。

編集=江戸伸禎

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