米国移民局(USCIS)のトレイシー・ルノー長官代行は、公式書類や外部とのコミュニケーションに用いる用語を改めるよう、職員らに指示した。
用語の入れ替え例としては、「alien(エイリアン)」や「illegal alien(違法エイリアン)」などの言葉を、「noncitizen(非市民)」や「undocumented noncitizen(未登録の非市民)」に置き換えることが示された。さらに、移民を社会に受け入れる際の表現には、人種差別的と批判される「assimilation(同化)」という用語の使用をやめ、代わりに、「integration(統合)」を用いるよう指示された。
エイリアンという単語は合衆国法典にも記載されている正式な法律用語ではあるが、移民擁護派の人々は「人間性を剥奪する表現」だと批判している。デンバー大学法学部の教授は「火星からの侵略者を連想させるような用語を、人々に用いるのは不適当だ」とバズフィードの取材に述べた。
トランプ政権は2018年に「未登録の移民」という用語の代わりに「違法エイリアン」という用語を使うよう当局に指示し、「chain migration(連鎖移民)」という不快とされる用語を用いていることで批判されていた。
バイデン大統領は、彼が提案した移民改革法案の中で、連邦移民法の中の「エイリアン」という用語を、「ノン・シチズン」に置き換えようとしている。
右派からは反発の声
連邦政府の文書から、エイリアンという用語を消去しようとするバイデンの提案は、右派からの批判を浴びている。「外国人を意味するエイリアンという言葉は正確で、決して攻撃的なものではない。別の呼び方を求めるのは、合理的ではない」と、トランプ政権下で移民当局者を務めたロバート・ローは、1月のブログで述べていた。彼は、移民を制限する政策を支持している。
NBCニュースによると、バイデンと民主党議員らは今週、移民改革法案の最終的な草稿を発表しようとしている。法案には、幼少時に親とともに米国に不法入国した「ドリーマーズ」と呼ばれる人々の強制退去を遅らせて救済する制度(DACA)の復活や、家族で移民した人々の救済、難民収容所の改革などが盛り込まれる見通しだ。
バイデンは、大統領就任の直後から移民政策に力を入れ、トランプ政権の反移民的なスタンスを覆してきた。バイデンは、前政権によるイスラム教諸国への渡航禁止令や、メキシコからの亡命希望者を制限する規則を撤廃し、難民の受け入れ数を増やす計画を立て、国境の壁の建設に向けた資金調達を可能にする緊急事態宣言を打ち切った。
バイデン政権はまた、国勢調査の集計から移民を排除する計画を廃止し、新型コロナウイルスのワクチン接種拠点では、不法移民を逮捕しないと宣言した。