ビジネス

2021.02.15

「眼鏡が曇りにくい」「呼吸がしやすい」「しゃべりやすい」マスク、スピード開発の裏側

医療用品メーカーのダイヤ工業は呼吸しやすく、蒸れにくい飛沫拡散防止のエチケットマスクとして着用できる立体構造マスク「murenMask(ムレンマスク)」を2020年5月末から販売、高付加価値タイプとして保温性、抗菌性のある「Silky murenMask(シルキームレンマスク)」を12月から販売している。

なぜサポーターメーカーが布マスクを開発する事になったのか、開発責任者であるVice Chief Engineerの川上真幸氏に聞いた。

マスクの息苦しさを減らしたい


マスク不足を少しでも解消したいと、2020年4月からインナーウェアなどに使用されている素材を活用したソフトな布マスクを販売していました。気候が良い時期は快適に着用でき評判も良かったのですが、少し暑い日が続き出すと呼吸するたびに口に張り付くようになり息苦しくなっていました。

社長の松尾との会話の中で「もっと快適なマスクを作れるのではないか、ダイヤ工業らしい夏用のマスクを作って世の中の方に喜んでもらいたい。」という言葉をきっかけにすぐ開発に着手しました。

世間ではフェイスガード、マウスガードも普及しはじめ、直接飛沫を飛ばさない為のエチケットマスクという考え方も定着しつつありました。ただ使用するには見た目の抵抗感もあり、機能はマウスガードで見た目はしっかりとしたマスクが作れないかという構想がありました。

また、マスクを着用したくても着用できない理由がある方もいますし、屋外でランニングをされる方もマスクの着用が必要になっていました。特に東京の皇居周辺のランナーのマスク使用についてもニュースで取り上げられ、話題性は高まっていました。実際、ダイヤ工業と同じ建物内にあるスポーツジムや近隣のスポーツショップからも声は聞いていましたし、大手のスポーツメーカーのマスクは想定の数十倍の注文が殺到し、即完売で欠品状態が続いているという状況でした。

基本構造はすぐ浮かんだ


空間維持をさせる構造を考えていて、基本構造はすぐに浮かんでいました。その構造を実現させる為に様々な手段を試しました。布マスクを立体にする為にワイヤーを中に組み込んだり、成形品をポケットに差し込んだり、どのように口の周りに空洞を作り出すか、空気を流れさせるかを模索しました。 

今までのサポーター作りでは身体にフィットさせる事を重視しており、その部分は得意でしたが今回は立体(空間)を作るので今までの方法とは逆の発想になりました。

基本となる構造試作はベルトとプレートを使用してすぐ作れました。そのままだと肌当たり等に問題があったので、その構造を実現する為に自社製品のサポーターにも使用しているメッシュ素材の中から最適なメッシュを選び、素材を組み合わせて試行錯誤し何十種類も試作を作りました。マスクの試作は装着検討する人数分作成しないと試せないのでデスクは常に試作の山でした。


次ページ > 海外生産はかなりの挑戦。なんとか約1ヶ月で立上げを実現

PR TIMES STORYより

ForbesBrandVoice

人気記事