この口実により、多くの企業や社会人は、不要な出張やラッシュアワーの渋滞を避けることによって得られる排ガス削減や生産性向上といったメリットを享受できずにいる。従来のやり方を常に踏襲しようとする姿勢が邪魔をして、私たちは社会として進化できず、正しい方向に変化できずにいる。
私たちが今乗り越えるべき課題は、不合理な働き方を捨てることだ。私たちは今、本来なら場所を問わずにより快適かつ柔軟に行えるタスクを、まるで一定時間オフィスの椅子に縛り付けられているかのように行っている。この明々白々な事実を認めないことの代償は大きい。居住場所は限定され、日々の貴重な時間を渋滞に奪われ、不必要な雑務を続けることになるのだ。
新型コロナウイルスのパンデミックにより生まれた数少ないポジティブなこととして、新しい働き方や新しい仕事関係を採用する機会が生まれたことがある。そうした学びの可能性を拒否して、従来のやりかたに戻ろうとするのは、まさに知的貧困だ。これは管理職としての失敗であると同時に、社会としての失敗でもある。