ECが提携した企業にはエアバスやアリアンスペース、ユーテルサット、オレンジ、タレス・アレニア・スペースなどが含まれている。衛星コンステレーションを構築する目的は、過疎地にインターネット接続を提供することに加えて、「欧州のデジタル主権を強化し、市民に安全な接続を提供すること」にあるという。
ECは、調査を通じ、衛星コンステレーションが現在および将来の重要なインフラをどのように強化するかを研究する。衛星が5Gでどのような役割を果たすのか、さらに今後の6G技術への進化も考慮に入れながら検討するという。
ブルームバーグは12月初旬に、ECのコンステレーションの総コストが60億ユーロ(73億ドル)程度になると予測していた。
衛星コンステレーション分野では、世界で複数の勢力が台頭している。イーロン・マスクのスペースXは、すでに数百基の衛星を打ち上げて「スターリンク」を構築し、今後の数年間で4万2000基もの衛星を打ち上げる計画を立てている。
アマゾンも「プロジェクト・カイパー」と呼ばれるプロジェクトを進めている。2020年末にEUを離脱する予定の英国でも、政府が支援する企業OneWebが倒産から再起して、先日もロシアから打ち上げを行い、すでに100機以上の衛星を打ち上げている。
中国もこの分野の開発を進めている。世界のプロジェクトを合計すると、今後数年間で10万個以上の衛星が地球の軌道に追加されることになる。
これは、地球の軌道に大きな課題と危険をもたらすことになる。最も重要なのは、この膨大なトラフィックの増加にどう対処し、衛星同士の衝突を防ぐかということだ。さらに、衛星コンステレーションが増えると、夜空の見え方が大きく変わってしまう可能性もある。
欧州宇宙機関(ESA)を含む多くの専門家団体は、現在の規則や規制ではメガコンステレーションに対応できないとの懸念を示している。EUが独自の衛星コンステレーションを開発すると宣言したことで、この懸念はさらに高まることになりそうだ。