同社によると、パンデミックの強力な打撃を受けたウォルト・ディズニーやヒルトン、アラスカ航空らは、来年後半の経済復興の恩恵を受ける上で、最も有望なポジションにあるという。
半導体メーカーQorvo(コルボ)の株価は年初来で38%高となっているが、バンク・オブ・アメリカは同社が5Gの成長トレンドとIoT分野での優位性から有望だと見ている。Qorvo は今後の金利上昇や、トランプ政権が課した報復関税の終了からもメリットを得られるという。
一方で、今年はエネルギーと金融セクターがそれぞれ32%と7%の下落になったが、バンク・オブ・アメリカはこの2セクターを来年のツートップに選んでおり、特にシェブロンとオールステート保険(Allstate)に成長ポテンシャルがあると述べた。
小売大手のウォルマートは、消費財セクターの中で最も強固な基盤を築いており、デジタル化に注力していることから今後も利益を拡大できると、バンク・オブ・アメリカは述べている。ウォルマートは、パンデミックの打撃に競合が苦しむ中でも、年初から株価を約23%上昇させた。
一方で、投資家がESG開示の質をより厳しくチェックするようになるにつれ、環境・社会・ガバナンス投資の成長は今後も加速していくとバンク・オブ・アメリカは指摘する。鉄鉱石を主力商品とする資源開発企業ヴァーレ(Vale)や、電力および天然ガス事業者を保有する持株会社ネクステラ・エナジー(NextEra Energy)の2社は、この分野で有利なポジションにあるという。
さらに、不動産分野では年初から株価を15%下落させた不動産投資信託のRealty Income、ヘルスケア分野ではHCA Healthcareらが、2021年に向けて大いに成長が期待できる「高品質のバリュー銘柄」であるとバンク・オブ・アメリカは指摘した。
バンク・オブ・アメリカは2021年末までの、S&P 500の上昇幅を最大6%と予測している。「回復は無傷で、世界経済は2021年の後半から再開する見通しだ。しかし、回復に向けた期待値の多くは、既に現状の株価に織り込まれている」と同社のアナリストは述べた。
来年の市場の重大なリスク要因としては、ワクチンの普及が課題に直面することや、財政刺激策の遅れ、政府による追加のロックダウン措置などがあげられた。