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2020.01.05 20:30

2020年のウーバーは有望株、その理由

(Spencer Platt / by Getty Images)

(Spencer Platt / by Getty Images)

2019年に取り上げたすべての銘柄の中で、筆者が最も厳しい評価を下したのが配車サービスの「ウーバー(Uber)」だった。5月2日付けの記事で、「2019年にウーバー株を買うのは、これ以上ないくらい愚かなお金の使い方だ」と書いてひんしゅくを買ったのだ。

反発を買っても、筆者はその考えを変えなかった。ウーバーは2019年5月10日に新規株式公開(IPO)を実施したが、同社株価はそれ以降、35%も下落した。ウーバーのIPOについてメディアが過剰に騒いだことは、まったくの過ちだった。株式について何の知識もない新米投資家たちは、それに釣られた末に、自分のお金がはかなく消えていくのをただ見ているしかなかったのだ。

念のために言っておくが、筆者はウーバーのサービスが大好きだ。手ごろな価格で簡単に利用でき、通常のタクシーよりもはるかに便利だ。しかし同社のビジネスはこれまで、恐ろしいほどお金を失ってきた。

ウーバーが顧客に請求する料金は、同社の費用をカバーするのに十分とは言えない。2019年の前半6か月で、ウーバーは60億ドル以上も失ったのだ!

筆者は間違っていた

筆者は2019年5月、「ウーバーが今後利益を上げることは絶対にないだろう」と述べた。しかし今では、2020年中に初めて利益を出すと見込んでいる。また、株価はすでに底を打っており、大きく回復すると確信している。

筆者が考えを変えたのはなぜだろうか。思い出してほしいのだが、ウーバーは基本的に、ライドシェアリングという、当時最新であったセクターを新たに誕生させた企業だ。ウーバーは真のディスラプター(創造的破壊者)なのだ。しかし、大きな問題がひとつある。ウーバーのサービスは、真似するのが非常に簡単ということだ。

世界各地で、ライバル企業が続々と生まれた。ライドシェアリングの分野では、アメリカの「リフト(Lyft)」、シンガポールの「グラブ(Grab)」、中国の「滴滴(Didi)」、アメリカの「ジュノ(Juno)」、インドの「オラ(Ola)」、エストニアの「タクシファイ(Taxify)」などがある。

フードデリバリー部門の「ウーバーイーツ(Uber Eats)」も、「グラブハブ(Grubhub)」や「ドアダッシュ(Doordash)」、「ポストメイツ(Postmates)」、「ジャスト・イート(Just Eat)」、「キャビア(Caviar)」としのぎを削っている。

ウーバーのひどい悪夢

ウーバーの顧客を奪おうとしたライバル企業各社は、料金をぎりぎりまで下げた。たとえばリフトは、ウーバーがIPOを実施する直前の6か月間、全乗車の3分の1で割引クーポンを配布した。ウーバーイーツから乗り換えてもらおうとしたドアダッシュも、すべてのオーダーを赤字状態で受けた。

要するに、ウーバーは集中攻撃を受けたわけだ。少なくともライバル十数社が、ウーバーから客を奪うために、あえて多額の損失を出していた。

結果的に、ウーバーは利用料金の値下げを余儀なくされたが、それには高い代償がついた。前述したように、2019年前半のわずか6か月間で、ウーバーは60億ドルの損失を出している。これは、過去7年分の赤字総額を上回る額だ。
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翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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