ボストン・ダイナミクスは12月11日の声明で、現代自動車が80%の株式を保有し、ソフトバンクが残りの20%を保有することになると述べた。買収金額は8億8000万ドル(約912億円)と報道されている。現代自動車は、韓国の富豪で35億ドルの資産を保有する鄭義宣(チョン・ウィソン)会長が率いる企業だ。
声明によると、今回の買収は製造・物流・自動化におけるボストン・ダイナミクス社と現代のそれぞれの強みを活かし、自律走行車への「相乗効果」を発揮するものだという。
サムスンに次ぐ韓国第2位のコングロマリットである現代は、今後5年間で500億ドル(約5.2兆円)以上を投資し「スマート・モビリティ・ソリューション・プロバイダー」になるという野心的目標を掲げており、その中には自動運転車両の開発も含まれている。
ボストン・ダイナミクス社は声明の中で、現代自動車はすでに自動運転やスマートファクトリー、AI(人工知能)、ロボティクスなどの先端テクノロジーに多額の投資を行っていると述べた。現代は先月、欧州の化学大手イネオスと、水素燃料自動車(FCV)向けの水素テクノロジーを共同開発する契約を結んだばかりだ。
「ボストン・ダイナミクス社の買収は、市場をリードする能力や技術、ノウハウを現代自動車に持ち込むことになる」と、シンガポール本拠の調査会社Lux ResearchのYu Yuanshengは述べた。Yuは、現代が昨年発表した工場作業員を支援するためのウェアラブルロボット「Vest EXoskeleton」の今後に期待していると話した。
現代はさらに、障害者の歩行を支援する医療用ロボットの開発も進めているという。
ボストン・ダイナミクスは1992年にマサチューセッツ工科大学(MIT)で設立され、2013年にグーグルに買収されるまで独立して運営されていた。その4年後にソフトバンクが非開示の金額で買収した。
ボストン・ダイナミクスは同社が現在、フォードをはじめとする様々な企業の業務にうまく統合された「アジャイルで移動可能なロボット」を開発していると述べている。
ソフトバンクは現代自動車への売却を通じて、韓国企業と「提携」し、ボストン・ダイナミクスの事業化を加速させていくという。ソフトバンクを率いる孫正義会長は声明で、「現代自動車とボストンダイナミクスには非常に明るい未来がある」と述べた。