このほど、地中海式の食生活を送ることで、一部の女性の間では2型糖尿病のリスクが緩和するかもしれないことを示す新たな証拠が発表された。
米マサチューセッツ州ボストンのブリガム・アンド・ウィメンズ病院の研究者らは、医療従事者の女性を20年以上にわたり追跡した長期コホート研究「ウィメンズ・ヘルス・スタディー(WHS)」の参加者2万5000人以上のデータを調査した。
研究者らは、より地中海式に近い食生活を採用していた女性はそうではない女性と比べ、2型糖尿病になる確率が30%低いことを発見した。
長期にわたりデータを分析することには確かに強みがあるが、同調査は参加者が全て女性の医療従事者だという制約がある。またその大多数は白人で、高い教育を受けていた。
もう一つの制約は、研究者がバイオマーカー(生体指標)を測定したのは調査の初めだけで、終了時には測定されなかったことだ。
研究対象となった女性らは1992年〜95年の間に調査に登録し、データは2017年12月まで回収された。
調査の目標は、心臓病とがんのリスクにビタミンEと低用量アスピリンが与える影響を評価することだった。しかし同調査では、参加者が食事摂取量に関する食物摂取頻度調査票(FFQ)に回答し、さらに生活様式や病歴、人口統計学的要素などに関する質問にも回答したため、さらに多くのことが判明した。研究の初めには血液サンプルが採取された。
約2万5000人のWHS参加者のうち、2型糖尿病を発症したのは2307人だ。
研究者らは、調査の初期に地中海式の食事をより多く採用していた参加者が糖尿病を患う確率は、地中海式食生活の割合が低かった女性と比べ30%低かったと述べた。
この減少傾向が見られたのは、BMI(体格指数)が25より高かった参加者(太り過ぎ、肥満と定義される)のみで、BMIが25より低い人の間では見られなかった。
ハーバード・メディカル・スクール准教授で、ブリガム・アンド・ウィメンズ病院の予防医学・心臓血管内科のサミラ・モーラ博士は「私たちの研究結果は、太り過ぎや肥満の人は特に、食生活を改善することで2型糖尿病を将来患うリスクを減らせるという考えを支持するものだ」と述べた。
ただモーラは「こうした変化の多くは直ちに起きるものではないことを覚えておくことが重要だ」と補足し、「代謝は短期間で変化することがあるものの、私たちの調査からはより長期的な変化がもたらされ、それにより数十年にわたり保護効果が得られるかもしれないことが示されている」と説明した。