「個の時代も、ともすれば自己責任論がはびこり、一人ひとりが孤独を感じ、包摂からこぼれ落ちる人がたくさん出る世界になり得る。そのときに、僕らはスタートアップとしてどうあるべきなのか」
インターネット初期のころからオンライン事業を手がけてきた。「インターネットを使えば国境や言語、肌の色や性別も超えて人と人がつながり合える幸せな世界が実現できる」と信じてきた。だが、「スマホが登場し、SNSが急速に普及した結果、わかり合えないということがすごく可視化された」と家入は話す。
そしていま、インターネットを取り巻く世界では揺り戻しが起きている。米司法省は20年10月、米Googleを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した。家入はそれを、「ビッグバンが起きた後の収縮みたいな感覚」として受け止めているという。
「インターネットの宇宙がワーッと広がった後、いまは国がかたちを取り戻そうとする流れと個人が小さい経済圏をつくってまとまろうとする動きがリンクしている。そして、揺り戻しの先に新たに広がる世界が生まれる」
一体、どんな世界なのか。そう尋ねると、家入はおもむろに『情報の文明学』について話し始めた。生態学者・梅棹忠夫が記した1冊で、今日の情報化社会を明確に予見した名著として知られる。
「情報革命の先にどんな革命が起きるのかを妄想すると、これからは心でつながり合う世界になっていくと僕は思います。人はどうしても心のつながりを求める生き物なので、そこに対して何か提供できないだろうかと。アプローチはたくさんあるので、具体的なかたちはわからないですけど」
CAMPFIREは20年11月、約40億円の大型資金調達の旨を発表した。家入の壮大な挑戦はさらに加速していく。
11月25日発売の「Forbes JAPAN」1月号では、上位受賞者のインタビュー記事や200社を網羅した2021年版「日本のスタートアップ図鑑」などを掲載。また、11月25日16時〜18時に「Forbes JAPAN CEO CONFERENCE」内にて、TOP10起業家が集うオンラインでの「起業家ランキング表彰式」を開催する。
「Forbes JAPAN CEO CONFERENCE」登録はこちら>>
Forbes JAPAN1月号目次はこちら>>