ビジネス

2020.11.25

CAMPFIRE家入一真、「コロナ禍の救世主」も感じた敗北感と見据える先

CAMPFIRE 代表取締役 家入一真


「個の時代も、ともすれば自己責任論がはびこり、一人ひとりが孤独を感じ、包摂からこぼれ落ちる人がたくさん出る世界になり得る。そのときに、僕らはスタートアップとしてどうあるべきなのか」

インターネット初期のころからオンライン事業を手がけてきた。「インターネットを使えば国境や言語、肌の色や性別も超えて人と人がつながり合える幸せな世界が実現できる」と信じてきた。だが、「スマホが登場し、SNSが急速に普及した結果、わかり合えないということがすごく可視化された」と家入は話す。

そしていま、インターネットを取り巻く世界では揺り戻しが起きている。米司法省は20年10月、米Googleを反トラスト法(独占禁止法)違反で提訴した。家入はそれを、「ビッグバンが起きた後の収縮みたいな感覚」として受け止めているという。

「インターネットの宇宙がワーッと広がった後、いまは国がかたちを取り戻そうとする流れと個人が小さい経済圏をつくってまとまろうとする動きがリンクしている。そして、揺り戻しの先に新たに広がる世界が生まれる」

一体、どんな世界なのか。そう尋ねると、家入はおもむろに『情報の文明学』について話し始めた。生態学者・梅棹忠夫が記した1冊で、今日の情報化社会を明確に予見した名著として知られる。

「情報革命の先にどんな革命が起きるのかを妄想すると、これからは心でつながり合う世界になっていくと僕は思います。人はどうしても心のつながりを求める生き物なので、そこに対して何か提供できないだろうかと。アプローチはたくさんあるので、具体的なかたちはわからないですけど」

CAMPFIREは20年11月、約40億円の大型資金調達の旨を発表した。家入の壮大な挑戦はさらに加速していく。


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文=瀬戸久美子 写真=三部正博 ヘア&メイクアップ=内藤歩

この記事は 「Forbes JAPAN No.077 2021年1月号(2020/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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