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2020.11.23

ロンドンの「黒いタクシー」存続危機、ウーバーとの戦いも激化

Getty Images

「ブラックキャブ」として知られるロンドンのタクシーの5分の1は、新型コロナウイルスの影響で需要が急減したため、営業停止状態にある。このデータは、ブラックキャブの運転手らが所属する団体のLicensed Taxi Drivers’ Association(LTDA)がまとめたものだ。

ロンドンのタクシードライバーたちは、先日、現地の当局から営業免許の更新を許可されたウーバーとの戦いにも直面している。

LTDAは先日、BBCニュースの取材に、タクシー運転手の多くが今年3月以降に収入の道を絶たれたと話した。車両を手放すドライバーも増加中で、ブラックキャブを貸し出す企業も、車両の保管コストの捻出に苦慮しているという。

英国は、パンデミックの第3波に襲われており、夏の数カ月の間はロックダウンが緩和され、運転手たちは仕事に戻れるかもしれないと希望を抱いていたが、人々が再び自宅待機を命じられる中で、タクシーの需要は急減している。

LTDAはドライバーらを支援するため、ラジオ広告などを通じて、ブラックキャブの非接触型の決済導入や、運転席との間のシールドの設置をアピールしていた。しかし、パンデミックが再び猛威をふるい始めた中で、広告は停止させられた。

そこに追い打ちをかける形で、ウーバーの営業許可の更新が認められた。ロンドン交通局は、ウーバーの免許更新を拒否したが、裁判所はウーバーが「十分な安全対策を行っている」として、交通局の主張を退けたのだ。

LTDAの幹部は、裁判所の判断が「ロンドンに別の災害をもたらすことになる」と述べている。

しかし、ウーバーもタクシー業界と同様に、パンデミックの打撃を受けている。同社の配車サービスの需要も急減し、ロックダウンの中で、業績回復までの道のりは遠い。唯一の希望は、フードデリバリー需要が高まっていることだ。

インド版ウーバーとして知られる配車サービスのOlaも、今年2月にロンドンに乗り込んだが、同社のドライバーの一部が、無免許運転を行ったことが発覚して以降、交通局は、Olaの営業許可の更新を拒否している。

編集=上田裕資

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