キックスは、実は日産のラインアップにとって重要なモデルだ。今年の夏から2021年末までに登場する12台の新型車の貴重な第一弾にあたる。そう、10年ぶりの全くの新規投入モデルなわけだ。
でも、日本のクルマ好きから見れば、「e-POWER」という電動化搭載のキックスは国内専用モデルに見えるかもしれない。真相は遠い。
もともとリオデジャネイロのストリート・カルチャーにインスパイアされたと言われているキックスは、2016年にまずはブラジルで発売され、2017年に中国に上陸した。2018年にはアメリカで発売が開始され、2019年にはインドの市場にも登場したという世界戦略モデルだ。また、面白いことに、コスト削減のため、同車の生産はタイ王国だ。
そして、ついに2020年には日本に上陸。人気だったジュークの代わりの車種と言われるキックスは、新しいダブルVモーションのグリルを採用し、はっきりしたエッジが目立つポップな小型という感じが人気を呼んでいる。ライバルのトヨタC-HRはもっとエッジがシャープで激しい一方、キックスはさりげないエッジと面の膨らみ方が特徴でポップな感じ。
調べてみると、インド、ブラジルやアメリカなどでは、キックスはかなり格好いい小型車と評判であり、日産の新しいラインアップの第一弾にふさわしいと好評だ。僕も横浜で初めて肉眼で見た時は、意外にプロポーションが良くてスポーティに見えたことに驚いた。
キックスには、当然、日産が得意とするe-POWERが搭載されている。ノートやセレナなどで採用されているパワートレーンなので良く知られているけど、簡単に言うと、1.2リッター3気筒ガソリンエンジンを発電専用に使い、その電気で前輪をモーターが駆動する。これは、リーフ用のモーターと小さなバッテリー(1.5kWh)を組み合わせたノートe-POWERと同じ。日本では129psと260Nmを発揮するこのe-POWER仕様しかオファーしないが、e-POWER技術がまだ海を渡っていないため、アメリカでは125psの1.6Lガソリンのみとなる。
日本仕様では、e-POWERの最大トルクが一瞬に立ち上がるモーター駆動のおかげで、加速感は129ps以上のパワーがある感じ。なぜかと言うと、モーターの最高出力はノートよりも20%ほど増えているので、アクセルを踏むと気持ちが良い。燃費は21.6km/L(WLTCモード)と言うことで、ライバルのトヨタC-HRとホンダ・ヴェゼルに並ぶ。