「類型論」の起源は紀元前400年から
心理カウンセラー:そもそも人間を何らかの「類型(type)」で分類する理論は、古代ギリシャ時代から提唱されてきた。紀元前400年頃、「医学の父」と呼ばれるヒポクラテスは、人間の体液を「血液・黄胆汁・黒胆汁・粘液」の四種類に分けて、このバランスが崩れると病気になると考えたのね。
紀元100年頃になると、ローマの医師ガレノスが、これらの体液の量によって、人間の気質に違いが出てくるという「四気質説」を唱えた。血液が多いと「明朗・社交的」、黄胆汁が多いと「強気・短気」、黒胆汁が多いと「憂鬱・不安」、粘液が多いと「冷静・勤勉」といった気質が生じるとみなした。
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理学部D:古代ギリシャ時代からローマ時代にかけての頃は、世界は「空気・火・土・水」で構成されているという「四元素説」が受け入れられていましたね。
心理カウンセラー:その「四元素説」と「四気質説」を組み合わせて、「血液・黄胆汁・黒胆汁・粘液」が、それぞれ「空気・火・土・水」に対応すると説明されるようになった。「黄胆汁」が多い人は、「火」が燃え上がるように「強気・短気」だというようにね。
この種の「類型説」は、近現代になっても続々と登場した。1921年にドイツの精神科医エルンスト・クレッチマーは、著書『体格と性格』を発表し、人間の「体型」と「性格」に関連があると主張したよ。
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彼は、精神病院の患者を診察しているうちに、痩せて「細長型」の人は「統合失調症」、太った「肥満型」は「躁鬱病」、がっしりした「筋肉型」には「てんかん」が多いことに気付いて、体型が人間の気質を決定すると信じるようになった。
理学部D:僕は、痩せている方に入るのかな?
経済学部C:D君は、B君よりは痩せているけど、細長型ではないでしょう?
法学部B:いやいや、僕の方がD君より体重は少ないはずだよ。でも、僕よりはD君の方が筋肉質だと思うけど......。
心理カウンセラー:あはは、そこがポイントなのよ! そもそも人間の体型を「細長型・肥満型・筋肉型」のたった3種類に分けること自体、あまりにも大雑把で適当でしょう?
だからクレッチマーの類型説は、現代では学説として認められていないわけ。