1980年代初頭までは、オフロードイメージゆえ、SUVを街中で乗るのは最高の“ハズシ”だった。パリのサントノレ通りや、ロンドンのメイフェアに止められたオフローダー。それこそ“私、郊外にこんなクルマでないと走れないエステート持ってマス”を意味するステイタスシンボルだったのだ。
80年代までのSUVは、オフロードで何か破損しても汎用部品が使えるようにと、機能主義的設計。シンプルさを旨とした。
いまは変わった。バリエーションの豊かさが、たいへん楽しい。新型GLAが好例だ。ボディはグラマラスと表現したくなる、抑揚のついた面と線で構成されているし、まるでスポーツクーペのように、広いスタンスを持ち、オンロードでの走りが追求されているのがよくわかる。
すぐれたビジョナリーアントレプレナー(企業家)は魅力的な製品をつくるが、保守的な後継者はアイデアを希釈し、ときには台無しにしてしまう、とアップルやソニーの製品デザインを手がけた「フロッグデザイン」の創設者、ハルトムット・エスリンガーはかつて“警告”を発した。
新型GLAを見ると、メルセデス・ベンツは、それをよくわかっている。Mクラスに端を発する同社のSUVは、機能とスタイルのバランスを取っている。スタイリッシュでもオフロード性能で劣ったら意味がない、と考えているからだ。同時に、オンロードでよく走るうえに、静粛性は高く快適で、かつ最新の安全装備も備わる。利便性の高い、優れたライフスタイルカーなのだ。もはや“ハズシ”ではない。市場の嗜好をうまくとらえた、ど真ん中の製品である。
Mercedes-Benz GLA
駆動形式 : 4WD(4MATIC)
全 長 : 4415mm
全 幅 : 1835mm
全 高 : 1620mm
最高出力 : 110kW(150PS)
価 格 : 502万円から(車両本体価格・消費税込み)
問い合わせ : メルセデスコール(0120-190-610)