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3月のパリの様子(Veronique de Viguerie/Getty Images)

仏経済紙レゼコーは8月末、フランス各地の観光業を襲った「死の夏」に関する記事を掲載した。同国の大都市では、アジア人や米国人、ロシア人の観光客が消えたことにより、客室稼働率が平均以下へと低下した。

南部マルセイユや北部リールなどは国内旅行客の誘致に成功し、予想を上回る成果を出した。リールでは70%のホテルが営業し、客室稼働率は40~45%だった。

一方、世界で最も多くの観光客が訪れる都市であるパリの状況は深刻だ。2020年代前半には1400万人の観光客を失い、夏の客室稼働率はわずか34%だった。7月と8月の観光収入は60%減少したと推定されている。

世界はどうかというと、国連世界観光機関(UNWTO)によれば海外渡航者は今年前半に65%減少。4~6月には95.2%も減少した。英紙テレグラフは、これにより「海外渡航者4億4000万人と、輸出収入4600億ドル(約48兆円)が喪失」したと指摘。これは2009年の金融危機で起きた損失の5倍に相当する。

独調査会社スタティスタは、各国の国内総生産(GDP)に観光業が占める割合をまとめたUNWTOのデータに基づき、経済規模が大きい国の間で観光業の不振によって大きな影響を受けやすい国を順位付けした。

トップとなったのは、GDPの15.5%が観光関連のメキシコだ。2位、3位はスペイン(14.3%)とイタリア(13%)で、その後に中国(11.3%)とオーストラリア(10.8%)が続く。米国は8.6%で8位となった。米CNNテレビは、米国では観光業への依存度が比較的低いため、影響は比較的小さかったと指摘している。日本は7.0%で11位だった。

テレグラフ紙は、観光業が世界のGDPに占める割合は10%(3億3000万人の雇用に相当)であるものの、一部の国では観光業の比重がより大きいことを指摘。カリブ海諸国がその代表例で、その多くは経済規模が小さくスタティスタのランキングには入らないものの、大きな打撃を受けることとなる。

世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)によると、観光業が経済に占める割合が世界で最も高い国はカリブ海の島国アンティグア・バーブーダで、2019年の時点で雇用の91%が旅行・観光業界関連だった。2番目はアルバ(84%)、3番目はセントルシア(78%)だ。アジアでは、マカオが最も高い66%で、その次はモルディブの60%だった。

欧州ではクロアチアが最も高く、GDPの20%が観光からもたらされている。これを考えると、同国が国境閉鎖による多大な損失を防ぐために米国からの旅行者受け入れを続けているのも驚きではない。

編集=遠藤宗生

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