テレビ放送されたこの討論の様子が、相当数の米国民を幻滅させたことはおそらく間違いないのだろう。同日には英語圏のほかの国への移住に関するグーグルでの検索回数が、青天井の勢いで増加したという。
ニュージーランドのニュースメディア「ニュースハブ(Newshub)」がグーグルのデータを分析したところ、米国内のユーザーによる「ニュージーランドへの移住の方法」に関する検索数は、討論会の開始とともに急増。
それまで「0」だったグーグルトレンドのスコアは2時間後までに、一定の時間内に最も多く検索されたキーワードであることを示す「100」まで上昇したという。さらに、スコアが平均を上回る状態は、日付が変わった後も続いていた。
また、カナダについても同様の傾向が見られた。「カナダへの移住の方法」の検索数は、討論の開始後に急増し始め、翌日になっても通常より多い状態が続いた。米国人の間ではそのほか、アイルランド、英国、オーストラリアへの移住について検索する人が増加していた。
コロナ禍での移住は困難
ただ、討論会を見ていても立ってもいられなくなった米国人たちにとっては残念なことに、ニュージーランドもカナダも現在のところ、新型コロナウイルスの感染率が高い米国居住者の入国を原則禁止としている。
ニュージーランドとカナダはいずれも、新型コロナウイルスの感染拡大を比較的うまくコントロールしてきた。だが、一方の米国は依然として、感染者数でも死者数でも、世界で最悪の状況にある国のひとつだ。
ニュージーランドでは8月、新型コロナウイルス感染者のクラスターが数カ月ぶりに発生。これについてトランプは、「(感染者が)急増している」と発言。それに対してジャシンダ・アーダーン首相は、「1日に確認された新規感染者は9人」「米国の数万人とは比べ物にならないことは、容易に分かる」と反発していた。
一方、カナダのジャスティン・トルドー首相も7月、「同盟国の多くと比べ、特に隣国と比べて、わが国は新型コロナウイルスをうまくコントロールしてきた」と発言。トランプに批判的な姿勢を示していた。