フロリダ州に本拠を置くブライトライン・ホールディングスは、カリフォルニア州で24億ドルを、ネバダ州で8億ドルの私的活動債を発行し、西海岸の都市を結ぶ総距離260マイル(約420キロ)の鉄道を建設する。同社によると、社債は格付けなしで、クーポンレートや利回りはマーケティング開始後に決定するという。ブライトラインは、今回発行する社債以外にも、米政府から10億ドルの私的活動債を発行する承認を得ている。
ブライトラインの親会社であるプライベートエクイティファンド「Fortress Investment Group」の共同創業者兼共同CEOのWes Edensによると、着工は今年後半で、2024年の開業を目指しているという。当初は、カリフォルニア州のビクタービルとアップル・バレーからラスベガスまでの169マイルを、最高時速200マイル(約320キロ)で結ぶ計画だった。
しかし、ブライトラインは、90マイルを延長してロサンゼルスのダウンタウンにあるユニオン駅まで乗り入れることを交渉中だ。
「我々が本当に目指しているのは、ユニオン駅からラスベガスまで直通させることだ」とEdensは話す。ロサンゼルスのエリック・ガルセッティ市長や市運輸局とはまだ最終合意に至っていないが、「前途は明るい」とEdensは言う。ガルセッティ市長にコメントを求めたが、回答を得ることはできなかった。
Fortress Investment Groupは、NBAのミルウォーキー・バックスの共同所有者でもあり、他にもエネルギー企業や商業不動産プロジェクトに投資している。米国では、1960年代に多くの民間鉄道会社が破綻している。Fortress Investment Groupは、車を運転するには遠く、飛行機では近すぎる300マイルほど離れた都市間を高速鉄道で結び、楽しい旅行体験を提供することで民間鉄道会社を復興させようとしている。
ESG投資としても注目
「この鉄道システムは、何世代にも渡ってサービスを提供する資産だ。建設プロジェクトとしては、最適なタイミングで実施することになる」とEdensは述べている。
ブライトラインは、数年前に第1号のプロジェクトとしてフロリダ州のウェストパームビーチとマイアミを結ぶ鉄道を開業した。現在は42億ドルの免税債を発行し、オーランド空港まで線路を延長する工事が行われている。
実現すれば、旅行者は約3時間でマイアミに到達することができる(ウェストパームビーチとマイアミを結ぶ通常サービスは、新型コロナウイルスの影響で現在は運行を停止している。Edensによると、11月に再開される可能性があるという)。
Edensは、フロリダの路線が黒字化するのは、オーランド空港までの延長工事が完了する数年後だと見ている。