女性リーダーの優れたコロナ対策、実証する研究結果発表

ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相(Mark Mitchell - Pool/Getty Images)

私が4月に公開して大きな反響があった記事「コロナ対策に成功した国々、共通点は女性リーダーの存在」を科学的に裏付ける研究結果が発表された。女性リーダーは同等の立場にいる男性リーダーと比較して、新型コロナウイルス流行の初期段階での対応が優れていたのだという。

研究は英国のリバプール大学とレディング大学の研究者らが行ったもので、「Leading the Fight Against the Pandemic: Does Gender ‘Really’ Matter?(パンデミック対策の主導 性別は本当に重要なのか?)」と題した論文にまとめられた。その内容によると、女性がリーダーを務める国の方が早い段階でロックダウンを実施し、論文発表時の死者数も男性が率いる同等の国より少なかったのだという。

では、その理由は一体何にあるのだろう?

リスクマネジメント


研究チームは第1の理由として、女性リーダーは人命を守ることに関してリスクを回避する傾向が高い点を挙げている。女性リーダーは新型ウイルスのパンデミック(世界的大流行)の厳しい現実を直視し、国民に対しても同様の姿勢を促して、経済活動よりも人命を優先した。研究チームは、この要因が女性リーダーの「リスク回避」傾向にあった可能性を主に行動学の面から示した。

リーダーシップのスタイル


第2の理由とされたのは、女性指導者のリーダーシップスタイルだ。多くの女性リーダーは、子ども向けの記者会見を開いたり、医療従事者の検査を優先したりと、より共感的で民主的な参加型スタイルを取ってきた。研究チームが言うように、「リスクと共感に対する姿勢や明快で断固たるコミュニケーションが重要となった今回の状況」下では、愛と慈しみをもった女性のリーダーシップが優れたコロナ対策につながったのだ。

未来に向けて


研究チームは、社会構造が近い国同士を比較することで交絡因子を最小限に抑え、女性がリーダーを務める国のコロナ対策の成功が単に相関関係の結果ではないということを示した。それでも、こうした女性たちが指導者に就任できたのは選択バイアスの結果であった可能性を排除するのは難しい。こうした女性たちの有能さは、女性がトップの座に上り詰めるために非常に厳しい基準を満たす必要があったことが理由である可能性があるのだ。

研究チームは「多くの変数が限定的であり、完全なサンプル実現に向けた取得が困難である場合が多いため、今後も多くの研究が必要となる」と認めた一方で、統計分析には常に欠点があるかもしれないものの、新型ウイルスの流行では各国で有効だった対策を理解することが重要だとも指摘した。

メディアは、パンデミックがいかに女性たちを苦しめているかをこぞって取り上げているが、それだけではなく女性の功績もたたえるべきではないか。新型ウイルスの流行は、またとない学びの機会だ。有能な女性リーダーといった明るい点に注目することで、私たちはコロナ禍から学び、リーダーシップにおけるジェンダーバランスが皆の復興に資することを世界に示すことができる。

編集=上田裕資

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