同報告書の「生きている地球指標(Living Planet Index)」は、脊椎動物4392種の2万811匹を追跡したものだ。それによると、人間による過剰消費が壊滅的な個体数の崩壊を引き起こしていたことが分かった。特に大きな要因は、森林伐採と農地の拡大だった。1970年から2016年の間に、哺乳類や鳥類、両生類、魚類の個体数は68%減少した。
地球上で最も大きな影響を受けた地域は中米・南米の熱帯地方で、1970年以降野生生物の個体数は94%減少した。草原やサバンナ、森、湿地の転換や乱獲、気候変動、外来種の導入などは全て、この残酷な変化の主要因だった。アフリカでの同時期の野生生物の減少幅は65%で、主な原因は土地と海の活用の変化だった。また、乱獲も大きな影響を与えていた。
その他の地域での野生生物の減少率は、アジア太平洋地域が45%、北米が33%、欧州・中央アジアが24%だった。野生生物への破壊的な影響は地上だけにとどまらず、過去50年の間に淡水魚の個体数は84%減少し、海では75%の魚種資源が乱獲されていた。
WWFインターナショナルのマルコ・ランベルティーニ事務局長は、「世界が非常に甚大な地球規模の破壊と未曾有の健康危機に揺れ動く中、今年の『生きている地球報告書(Living Planet Report)』は、自然が崩壊していることを明確に示す憂慮すべき証拠だ。地球は、重要な自然体系が機能不全に陥っているという警告信号を光らせている」と述べた。
またランベルティーニは、同報告書で「人間による自然破壊が増していることで、野生生物の個体数だけでなく、人間の健康や生活のあらゆる側面に壊滅的な影響が生じていることが明らかだ」と述べた。ランベルティーニは、まだ正常な状態に戻す時間はあるとしながらも、「世界のリーダーは、健康な社会と発展する経済の基盤として自然を保護し復元するため、緊急の対策を取らなければならない」と述べた。