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Wacharaphorn Phetpradub / EyeEm / by Getty Images

若者のたち間で人気の動画投稿アプリ、TikTok(ティックトック)で行われている「チャレンジ」のひとつで、米オクラホマ州の15歳の少女が死亡した。抗アレルギー薬「ベナドリル(ジフェンヒドラミン)」を、一度にどれだけ飲めるか“挑戦”してみたことが原因だという。

花粉症などのアレルギーの症状を抑えるベナドリルは、過剰摂取すると不快感を覚えたり、危険な副作用を引き起こしたりする薬だ。カナダのトロント大学の臨床薬理学・毒物学部門の責任者、デビッド・ジャーリンク教授は、決して“試してみる”ものではないと指摘する。

「ベナドリルを過剰摂取すると、発作や心不全を起こす可能性があります。TikTokで若者たちがこの薬を大量に服用することを競い合っているなら、それは非常に危険な行為です」

今年5月には、テキサス州に住む10代の若者3人がこの薬を過剰摂取し、クック小児病院で治療を受けた。このうちの1人は14歳で、一度に14錠を服用していたという。

ベナドリルの過剰摂取によって引き起こされる症状には、具体的にはどのようなものがあるのだろうか?

ジャーリンク教授によれば、発作や心停止のほかに多くみられるのは、眠気、錯乱、興奮、視力障害、目や口の乾燥、便秘、無汗、尿閉(排尿ができなくある)など。昏睡状態に陥ったり、意識が混濁して、ブツブツと支離滅裂なことを言い続けたりする場合もあるという。

「市販薬」でも危険はある


TikTokがユーザー向けに公表している「コミュニティガイドライン」には、けがにつながる危険性があるチャレンジを奨励、助長、または称賛するようなコンテンツの投稿は認めないと記されている。

ベナドリル・チャレンジへの対応について同社にコメントを求めたところ、広報担当者は声明を発表。以下のように説明した。

「2020年5月にこの“チャレンジ”が行われていることを把握しました。その時点で投稿されていた関連のコンテンツはごくわずかな数でしたが、それらは速やかに削除しました。その後もベナドリル・チャレンジについては注視しており、当社のプラットフォーム上での拡散を防ぐため、新たなコンテンツが投稿されれば(やはり非常に少ない数ではありますが)、すぐに削除しています」

専門家の間には、ベナドリルが薬局で購入できる市販薬であることが、多くの人がその危険性を過小評価することにつながっているのではないかとの見方もある。

ジャーリンク教授は、「(ベナドリルは)服用後に眠気を感じる場合があるものの、標準的用量を守っていれば、かなり安全性の高い薬です。ですが、10、20、30錠といった量を服用すれば、大幅に健康を害することになります」と説明する。

さらに同教授は、TikTokのユーザーである10代の若者たち、あるいはその親たちにとって重要なことであるとして、次のように述べている。

「処方箋なしで購入できる薬だからといって、ベナドリルの危険性を過小評価してはいけません。大量に服用しても死亡する危険がないということではありません」

「少し眠くなるか、命を落とす危険がある発作その他の重大な問題が心臓に起きるかの間には、紙一重の差しかありません」

編集=木内涼子

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