──石倉さんもえとみほさんも、ツイッターなどSNSでのコミュニケーションに長けているイメージがあります。石倉さんがツイッターを始めるとき、えとみほさんにアドバイスをもらって、その通りに進めたそうですね。どんなアドバイスだったのでしょうか?
石倉:僕の師匠であるえとみほさんには、フォロワーを増やしていくための方法を教えてもらいました。
最初に、「BtoBの会社でツイッターをやるのなら、大事なのはとにかく社長です」と言われました。キャスターという会社ではなく、とにかくまずは「石倉さん」を知ってもらうことが大事だと。
次に、発信するテーマの「主語」を決めること。そして主語の大きさが異なるテーマをいくつか持つことです。たとえば「リモートワーク」をテーマに設定すると、興味を持ってくれる層は広くはないのですが、それが「働き方」になると、数が一気に大きくなるんです。興味を持つ対象者が多いテーマでどう認知を取れるかを考えました。
えとみほ:ツイッターのフォロワー数って、ジャンルによって天井がある程度決まっているんです。その点「働き方」って本当に対象となる方が広い。いいテーマ設定だなと思いました。
──フォロワーが増えてきて、初めて見えてきたことはありますか?
石倉:フォロワーが増えれば増えるほど、自分が伝えたいことを相手に伝える難しさをすごく感じます。自分なりにわかりやすく書いたつもりでも、読み手の背景やバックグラウンドが違うと、想定しないような捉え方をされてしまうことがあるので。だから、分かり合うことを前提にしない方がいい。
えとみほ:人は基本的に自分が受け取りたいようにしか受け取らないので、発信する側がコントロールするのは無理だと、私は思っています。伝わる人にだけ伝わればいい。好みや解釈が違う人がいるのは、もう仕方がないことですから。
ただ、今の栃木SCの仕事は、スポンサーやサポーター、自治体と、ステークホルダーが多いので、全方位に配慮しないといけません。試合の結果によっては、とても感情的になっている顧客と話すことも必要になるので、SNSの使い方も変わりましたね。
「コミュ力高い」と「仕事ができる」は別の話
──フォロワーを増やすためのTIPSが先行してしまって、「本当に仕事ができる人」と「ただコミュニケーションが上手な人」の区別がつきにくい状態になっていると感じることはありませんか?
えとみほ:たとえば、ツイッターのフォロワーを増やす方法ってすでにテンプレ化されているので、勉強が得意な人だったら、すぐ数万フォロワーくらいには達すると思うんです。ただ、それが仕事の実力と比例するかというと、違っていて。
特に若い人だと、そうした「錯覚資産」のほうが大きくなって、周りの期待値に応えられないことがあるのは、容易に想像がつきますね。一緒に仕事をしてみないと、本当の実力ってわからないものだと思います。