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2020.09.03 11:10

全米で8万人の航空会社従業員が一時帰休に直面

デルタ航空のパイロット(Michael A. McCoy / by Getty Images)

デルタ航空のパイロット(Michael A. McCoy / by Getty Images)

CBSニュースは8月上旬、新型コロナウイルスのパンデミックが航空業界を直撃したことにより、全米で8万人の航空会社従業員が一時帰休に直面していると報じた。

デルタ航空は、大幅に労働力を削減した航空会社の最新の例となった。約2000人の現役パイロットに対し、コロナウイルス支援・救済・経済保証法(CARES法)が失効する10月1日以降の一時帰休を講じたのだ。パンデミックが続くなか、米国の航空会社は1日に数百万ドルの赤字を出している。連邦政府は3月、救済措置として、250億ドルの給与援助をおこなった。従業員の解雇や、意思に反する一時帰休、給与削減をしないことが条件だ。デルタ航空は、CARES法の期限が延長され、かつ、労働組合とのあいだでコスト削減協定を結べた場合は、一時帰休を「回避または削減」したいとの意向を示している。

デルタ航空は7月の時点で、28億ドルという記録的な調整済み四半期損失を計上した。CBSニュースの報道によれば、8月上旬までに同社の従業員の20%にあたる17000人が、希望退職や早期退職の制度を通じて会社を去った。しかし同社によれば、この数字は10月の一時帰休を回避するには不十分だ。

同様の措置をとる米国の航空会社はほかにもある。ユナイテッド航空もこの秋、従業員の半数が同じような不運に直面するおそれがあると通告している。対象者は36000人にのぼり、客室乗務員15000人、カスタマーサービス・搭乗ゲート担当者11000人、整備士5550人、パイロット2250人を含む。

これ以外にも、パシフィック・サウスウエスト(PSA)航空では730人のパイロットが、フロンティア航空では559人のパイロットと925人の客室乗務員が、一時帰休を命じられる可能性がある。ハワイアン航空は、226人のパイロットを含む2135人の従業員に対し、10月以降の一時帰休を指示する予定だと通知した。

一方、こうした措置を回避した航空会社もあり、とくにスピリット航空とアメリカン航空の例は注目に値する。スピリット航空は、CARES法失効と同時に600人のパイロットに対して一時帰休を指示する予定だったが、パイロットの自主的な休暇取得に関する交渉が順調に進み、この数字をゼロにすることに成功した。

アメリカン航空は10月1日以降、25000人に上る従業員の一時帰宅を見込んでいたが、最近になって、パイロットの労働組合と合意を締結。レイオフ回避のために休暇を増やし、早期退職パッケージを提供することを約束した。

10月以降、一時帰休を命じられる可能性のあるパイロットの数


・航空会社/人数

・ユナイテッド航空/2250人

・デルタ航空/1941人

・パシフィック・サウスウエスト航空/730人

・フロンティア航空/559人

・アレジアント(Allegiant)航空/275人

・ハワイアン航空/226人

・ピードモント(Piedmont)航空/120人

翻訳=的場知之/ガリレオ

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