因数分解できれば「メタ認知」がしやすくなる
この因数分解ができるようになると、「メタ認知」、つまり自分を客観視できるようになります。
私自身のコミュ力は、総合点で考えるとかなり低いでしょう。でも、「コミュ力が低い」のままで止まってしまっていたら、すべてのことがうまくいきません。何かをしたいと考えた時に、必要になるコミュ力を因数分解して、「これはできる」「これはできない」と具体的に認知するだけで、勝負できる方法を見つけ出せるし、どんな場面を避ければいいかがわかるようになります。
私の場合、人の感情を察する、空気を読む、臨機応変に対応する、初めての人と仲良くなる、不特定多数の人と話す、などは本当に苦手です。逆に、チャットのテキストコミュニケーションで相手と会話を続けていくことは苦手ではないですし、自分が言いたいことを整理してわかりやすく伝えることは得意です。
このように、同じ「コミュニケーション」と呼ばれることも、「コミュ力」と呼ばれる能力も、因数分解してみるとその中に得意・不得意が存在することがわかります。
コミュ力が低い、コミュニケーションが苦手などの漠然とした認識ではなく、
●初対面で
●1対1で
●他愛もない話をする
のが苦手なんだなと認識できるだけで、そういった場面をなるべくつくらないようにすることもできますし、乗りきれるくらいのコツを準備することができるようになります。
今まで営業や人事といった仕事において一定の成果を実現できたのも、自分の得意なことや苦手なことをメタ認知し、それを生かしたやり方や行動に移してきたからです。
それを考えずに最初から飛び込み営業をすることになっていたら、成績はボロボロだったでしょうし、今の私はいなかったかもしれません。
得意がわかれば「ラク」になる
因数分解をしてメタ認知をする方法は、あらゆることに応用できます。そして、これは特別なことではありません。見つけた自分の長所を活かす勝ち方は、誰にでもできます。
コミュ力は高くないといけない──。私の著書『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術』のなかでも書きましたが、これは、社会全体に蔓延している呪縛のような言葉だと私は思っています。
実際には、コミュ力が高いか低いかではなく、コミュニケーションが取れればいい。そして自分の得意・不得意をメタ認知して、得意な方法でコミュニケーションを取れるようにすればいいだけですから。
苦手なことに向き合うのは大事ですが、それをやり続けると疲れてしまいます。苦手なことを避けるちょっとしたコツを覚えたり、準備でカバーしたりしてなんとかやり過ごし、自分が得意なやり方で生きていけるようになると、もっと仕事も楽しくなるし、生きていくのが「ラク」になるはずです。
・「コミュ力」がなくても、仕事で確実に成果を出す方法
・生きるのがラクになる。苦手を避けて得意で戦う「コミュ力」不要の仕事術
・「コミュ障」のまま、仕事で一流の結果を出し続ける方法
連載:境界線をあいまいにするボーダレス組織論
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