してはいけないこと
ここまでは「守るべきこと」について述べてきた。ここからは視点を変えて、VPNの使用時に避けるべきことを紹介したい。
1. VPNの利用範囲を自分のブラウザに制限しないこと
これをやってしまっている人も多いだろう。無料のVPNサービスはブラウザ拡張機能で提供されていることが多いからだ。しかし、VPNの利用範囲を自分のブラウザだけに制限すれば、基本的にはそのブラウザ内の行動だけが保護される。換言すると、外部アプリや他のオンラインソフトウェアを使った場合、そのようなアプリやソフト経由で送るデータは危険にさらされるおそれがある。
一般的には、VPNはプラットフォーム全体で有効化しておいた方がいい。そうすれば、データは1ビットたりとも残らず保護されるし、オンライン上のあらゆる行動が見えなくなるからだ。
2. VPNをすべてのデバイスにインストールするのを忘れないこと
これは前述のポイントの続きだ。インターネット閲覧用に複数のデバイスを使っている場合、それらすべてをVPNが保護できるようにしておくのが合理的だ。モバイルバンキングやファイル共有などリスクの高いタスクや、その他すべての行動をスマートフォンでやってよいのかと迷ったことのある人なら、そのほうが理にかなっているとわかるだろう。
3. 必要のない時にVPNを有効化しないこと
一貫して自分自身のVPNを使うようにすることも大切だが、一方でVPNを切っておいたほうが好ましい場合もある。もちろん、最大級のセキュリティとプライバシーが求められる作業のたびにVPNを有効化するのは大前提である。しかし、単にNetflixの番組をランダムに再生するだけなら、VPNを切ることでその間に得られる通信速度は、おそらく見逃せない特典になるだろう。
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在宅勤務で会社のリモートVPNを使う場合にも、同じことが言える。会社のVPNの帯域幅は限られているので、必要としている人がVPNを確実に使えるようにしたい。昼休みに娯楽目的の動画をストリーミング再生するだけなら、VPNを切っておいて帯域幅を保持しておいたほうがいい。まさにその瞬間に、公共図書館で仕事している同僚が大容量の機密ファイルをアップロードしようとしているかもしれないのだ。この場合、同僚がVPNを利用できるようにしておいたほうがいいだろう。
結論
ここまで、VPNの使用時に心にとめておきたい「守るべきこと」と「してはいけないこと」を見てきた。これらの注意事項を厳守すれば、あなたの選んだVPNプロバイダーが担保するセキュリティとプライバシーは最大限保証されるはずだ。
通信制限を回避して、別の場所からウェブサイトにアクセスするためにVPNを使うという人々は多い。ただし、VPNとはあくまでセキュリティツールであり、自分のIPアドレスを隠してIDの匿名性を保ったままインターネットの世界を楽しむためのものだと肝に銘じておこう。