日本でなぜ「渡韓整形」が注目されるのか。タブー視されない隣国の事情

整形を目的に韓国に渡る「渡韓整形」を求める声が多いのはなぜか(Shutterstock)


美容事情を前向きに変える鍵は20代?


これまで、日本における整形のイメージは「美しくなる大きな一歩」よりも「騙している」に近いものだったように思える。近年は、世代ごとに少しずつ美容の概念に違いが出てきており、整形に対する考えも変わってきているようだ。美容外科『東京イセアクリニック』の調べによると、美容整形をポジティブに考える女性は約60%であった。60代の回答者に比べ、20代の女性の方が整形に対して前向きであり、7割を超える若者たちが積極的に考えているのがわかった。

手術をしたくない理由に「手術費用がかかる」が最も多く、「失敗するのが怖い」「健康なのに手術をしたくない」「手術が怖い」など、ほとんどの理由が手術に対す恐怖であった。意外にも「周りの人の目が気になる」という理由は、数ある理由の中でも最も少なく、10%以下であった。顔にメスを入れることへの恐怖を超えてまで、外見を改善したいと思わないようだ。女性たちは手術の事例やクリニックの数が多い韓国に、安心を求めて渡航するのだろう。

これらの情報から、近年「渡韓整形」をする女性が増えている理由は、多様化により若い女性が整形に対して前向きになりつつある傾向と、信頼のおけるクリニックや事例が韓国に多いことが関係しているように考える。日本の整形に対する「タブー視」による情報の希薄さが、日本の女性たちを不安にさせ、韓国への渡航に繋がったのではないだろうか。

整形は「戦略」。結婚と就職活動にも


さらに韓国において整形は結婚や就職活動に有利な手段として使われ、人生をよりよくするための「戦略」でもあるのだ。就職や大学入学の祝い金で「整形費」をプレゼントするという話を耳にしたこともあるのではないだろうか。

韓国青少年社会政策研究所のデータによると、2019年の時点で整形をしたことがある女性は約20%、男性は2%であった。日本の場合、女性はたったの3%に対し男性も2.5%である。韓国の女性が圧倒的に整形の経験が多いのがわかる。
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文=裵麗善/Ryoseon Bae

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