AI通信「こんなとこにも人工知能」

Maksim Shmeljov / shutterstock.com

およそ1兆円以上の規模に達したと試算されている世界の美容整形市場では、昨今、人工知能(AI)を取りいれたサービスが散見されるようになってきた。

イメージしやすいユースケースのひとつに、「整形手術後の顔予測」がある。ディープラーニングなど先端AI技術を使った顔認識技術をベースに、新しくなった“理想の顔”をデジタル上で再現するというものだ。中国の有力なAIプラットフォーム「Face++」を開発し、企業価値が約5000億円ともされているユニコーン企業Megviiは、「Face++ Micro-plastic surgery SDK」というツールを開発している。

同ツールでつくられたソフトウェアを使えば、整形を望むユーザーは、「顔のシワ除去」「目の拡大」「口の形の再構成」「あごの整形」などの効果を確認し、事前に術後の自分をシミュレーションできる。

同じく中国・四川にある西婵整形病院では、「整形手術デザインロボット」が活用されているという。これは、専門的な見地から分析した整形手術後の顔のデザインや、全体的な改善計画を、数分で作成・提供するソフトウェアだ。

術後の経過管理に人工知能を利用しようという動きもある。というのも、整形手術に伴うあざや腫れ、傷の不具合は、患者の日常生活復帰を遅らすトラブル要因になっている。術後観察やケアが非常に重要になるのだが、それを人工知能でサポートしようというものだ。

整形×AIの特許申請も

2018年に整形手術の施術件数が150万件を突破した韓国では、「AI自動回復分析アルゴリズム」なる特許技術が出願された。ITベンチャーのケアマインドが出願したもので、同社が運営する整形副作用予防アプリ「Afoter」に採用されている。

Afoterは、パーソナライズされた経過分析結果をもとに、患者個々人の施術部位の状態、回復状況などを可視化する。整形後のあざや腫れ、傷が残る時間、回復率、不具合・症状のリスク、炎症発生の可能性など、細かい要素を数値化されたグラフで分かりやすく提供する点が特徴となっている。

手術希望者同士が互いに情報をシェアするSNSなどの盛り上がりを見ると、日本の若者の中でも整形手術に対する拒否感や禁忌感は徐々に薄れている感がある。「整形×AI」という切り口から、人気のサービスが登場する日も遠くないのではないだろうか。なお、プライバシーと直結する整形手術という領域においては、AIに必須となる学習用データの漏洩リスクなどもかなり慎重に考慮されるべきだろう。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河鐘基(ハ・ジョンギ)

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