ビジネス

2020.08.26 12:30

「コミュ力」がなくても、仕事で確実に成果を出す方法


要素を知れば対処法が見えてくる


この考え方で、たとえば「人見知り」を分解してみましょう。

「人見知り」とは、初対面や今まで関係性がない人に対してうまく話せなかったり、関係性が築けなかったりすることを指す場合が多いと思います。

つまり「コミュ力」を分解した要素でいえば、
●関係構築型の会話が苦手
●話すきっかけをつかめない
●初対面でなんとなく会話を続けられない
などの要素が揃っている人、ということになります。

「自分は人見知りだから......」で止まってしまうと、どうしていいかわからなくなってしまいますが、関係構築型の会話が苦手で、話すきっかけがつかめないだけなんだとわかれば、対処法が思いつくようになります。「初対面の人とはこれを話す。ひとつ目の質問はこれをする」と決めてしまうのもいいですね。

ちなみに初対面が苦手な私の例ですが、保育園の保護者会などでの親同士の会話があまり得意ではありません。でも、同じクラスのお父さんやお母さんと仲よくしたいという気持ちはあるわけです。どうしようかと考えた結果、「よく話しかけてくる人の隣や近くに座る」という対策を考えつきました。

会話のきっかけをつくったり、横の人に話しかけたりすることを苦に思わない人は必ずいます。そういう人を見つけたら、隣や近くに座るようにして、相手から話しかけてくれるのを待ってみる。

そうすると、自分は何もしなくても会話が自然と始まることに気がつきました。「相手に甘えるな」と言われるかもしれませんが、苦手なことは避けて、得意な人に甘えてもいいのだと私は思っています。

この例は、「人見知り」で済ませず、それを構成する要素を因数分解したことで解決法が思いつきました。話すきっかけをつくれない「だけ」だからこそ、そのきっかけをつくるのが得意な人の近くにいることで、周囲との関係性をなんとか構築できた例だと思います。

「人間関係」だけで仕事は生まれない


「自分にはコミュ力がない」と悩む人が多い背景には、「人間関係が構築できてはじめて仕事が成立する」という考えがあり、それに囚とらわれているからかもしれません。しかし私は、これは因果関係が逆だと思っています。

「人間関係ができたから、仕事も一緒にできる」のではなく、「一度仕事をして、それがきちんと成立したから、人間関係が構築できる」のが正しい順序です。

どんな能力があるのかわからない人に、仕事を頼みたいと思う人は少ないでしょう。また、どんなに飲み会で雑談が上手な人だったとしても、仕事の成果を出せない人に大事な仕事を任せたいとは思いません。実際に、SNSでの発信やイベントでの発言はすごく上手で、かつ多くの人脈を持っていても「仕事の成果」を思ったほど出せずに苦労している人は周囲にもたくさんいます。

最近はSNS経由でビジネスが生まれることが多くなったこともあり、フォロワーを獲得するため、発信力を身につけることに心血を注ぐ人が増えたように感じます。もちろん、それは大事なことですが、それだけになってしまうとハリボテです。つまり、「コミュ力」を身につけたり、人間関係を構築したりする前に、仕事の成果を最大化させる「何か」を身につけておく必要があるのです。

「仕事の報酬は仕事」という言葉がありますが、仕事で成果を出すことが次の仕事を得る最短ルート。「コミュ力」があるかないかなどというのは、実は二の次なのです。

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連載:境界線をあいまいにするボーダレス組織論
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構成=村上広大

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