ケイリー・マクナニー大統領報道官は8月19日の記者会見で、「大統領は選挙結果を受け入れるのか」という記者の問いに対し、「大統領は常に、成り行きを見て、その後で決断を下すと述べている」とコメント。誰かを安心させるような答えは示していない。
トランプは根拠もないまま、「郵便投票は大規模な不正につながる可能性がある」と繰り返し発言。郵便投票の規模を拡大すれば「大規模な不正が起こり、2020年の大統領選は不正に操作されることになる」と主張し続けている。これが“誤った主張”であることは、複数の専門家らが証明しており、人々の懸念がさらに高まることにつながっている。
トランプは7月に出演したFoxニュースの番組でも、結果を受け入れると約束することを拒否。「見てみなければならない」「ただ単に“イエス”と言うつもりはない」と述べている。
8月17日にウィスコンシン州オシュコシュで行った支持者集会では、自身が選挙に敗れることがあるとすれば、その「理由はたった一つ」であり、「(結果の)不正な操作だ」と指摘。「私たちは十分注意しておかなければならない」と付け加えた。
また、トランプは8月上旬に受けた米新興メディア、アクシオス(Axios)のジョナサン・スワン記者とのインタビューでは、2016年の大統領選で民主党の候補だったヒラリー・クリントンは「結果を決して受け入れなかった」「いまだに受け入れていない」と主張。スワン記者が、クリントンは「選挙結果が出たその日の夜に敗北宣言を行った」と指摘したにもかかわらず、事実をゆがめて発言した。
法律も無力?
米紙ボストン・グローブは7月下旬、トランプが今回の大統領選での敗北を認めない可能性について、政治戦略家や政府・軍関係者、学者などで組織する超党派のグループが6月中にオンライン集会を開いていたことを伝えた。
この集会の主催者の一人、米ジョージタウン大学法学部のローザ・ブルックス教授は同紙に対し、「私たちが描いた筋書きはすべて、街なかでの暴力行為と政治的な行き詰まりにつながるものでした」と明らかにしている。
同教授はさらに、「法律は基本的に…進んでそれを無視する大統領に対しては、ほぼ無力です」と語った。
一方、もう一人の主催者である歴史家のニルス・ギルマンは同紙に、次のようにコメントしている。
「彼は、選挙に勝つ必要はないのです」「負けたのではないことを、もっともらしく説明する必要があるのです」
選挙結果に対するトランプの反応に対する懸念は、前回の大統領選のときにも広がっていた。CNNと調査機関ORCが2016年10月下旬、投票日が近付くなかで実施した調査では、「トランプは敗北すれば結果を受け入れ、敗北宣言を行うだろう」と考えていたのは、有権者の61%だった。
政治情報サイト、リアル・クリア・ポリティクスと調査機関ユーガブの直近の調査では、いずれも民主党の大統領候補ジョー・バイデンが支持率でトランプをリード。その差はそれぞれ、8ポイント、10ポイントとなっている。