トランプは大統領選で敗北なら結果受け入れを拒否? 広がる懸念

Photo by Chip Somodevilla/Getty Images

ドナルド・トランプ米大統領が11月に行われる大統領選で敗北した場合、結果を受け入れない可能性があることを危惧する声が高まっている。

ケイリー・マクナニー大統領報道官は8月19日の記者会見で、「大統領は選挙結果を受け入れるのか」という記者の問いに対し、「大統領は常に、成り行きを見て、その後で決断を下すと述べている」とコメント。誰かを安心させるような答えは示していない。

トランプは根拠もないまま、「郵便投票は大規模な不正につながる可能性がある」と繰り返し発言。郵便投票の規模を拡大すれば「大規模な不正が起こり、2020年の大統領選は不正に操作されることになる」と主張し続けている。これが“誤った主張”であることは、複数の専門家らが証明しており、人々の懸念がさらに高まることにつながっている。

トランプは7月に出演したFoxニュースの番組でも、結果を受け入れると約束することを拒否。「見てみなければならない」「ただ単に“イエス”と言うつもりはない」と述べている。

8月17日にウィスコンシン州オシュコシュで行った支持者集会では、自身が選挙に敗れることがあるとすれば、その「理由はたった一つ」であり、「(結果の)不正な操作だ」と指摘。「私たちは十分注意しておかなければならない」と付け加えた。

また、トランプは8月上旬に受けた米新興メディア、アクシオス(Axios)のジョナサン・スワン記者とのインタビューでは、2016年の大統領選で民主党の候補だったヒラリー・クリントンは「結果を決して受け入れなかった」「いまだに受け入れていない」と主張。スワン記者が、クリントンは「選挙結果が出たその日の夜に敗北宣言を行った」と指摘したにもかかわらず、事実をゆがめて発言した。

法律も無力?


米紙ボストン・グローブは7月下旬、トランプが今回の大統領選での敗北を認めない可能性について、政治戦略家や政府・軍関係者、学者などで組織する超党派のグループが6月中にオンライン集会を開いていたことを伝えた。

この集会の主催者の一人、米ジョージタウン大学法学部のローザ・ブルックス教授は同紙に対し、「私たちが描いた筋書きはすべて、街なかでの暴力行為と政治的な行き詰まりにつながるものでした」と明らかにしている。

同教授はさらに、「法律は基本的に…進んでそれを無視する大統領に対しては、ほぼ無力です」と語った。

一方、もう一人の主催者である歴史家のニルス・ギルマンは同紙に、次のようにコメントしている。

「彼は、選挙に勝つ必要はないのです」「負けたのではないことを、もっともらしく説明する必要があるのです」

選挙結果に対するトランプの反応に対する懸念は、前回の大統領選のときにも広がっていた。CNNと調査機関ORCが2016年10月下旬、投票日が近付くなかで実施した調査では、「トランプは敗北すれば結果を受け入れ、敗北宣言を行うだろう」と考えていたのは、有権者の61%だった。

政治情報サイト、リアル・クリア・ポリティクスと調査機関ユーガブの直近の調査では、いずれも民主党の大統領候補ジョー・バイデンが支持率でトランプをリード。その差はそれぞれ、8ポイント、10ポイントとなっている。

編集=木内涼子

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