米国でブームの「大人向けアニメ」、バイアコムCBSは新部門設立

Photo by John Paul Filo/CBS via Getty Images

米国のバイアコムCBSは8月5日、1990年代にカルト的人気を誇ったアニメ作品「The Ren & Stimpy Show(レンとスティンピー)」をコメディ・セントラルで復活させると発表した。

同社は新たにアダルト・アニメ部門を設立し、元Foxアニメーション取締役のGrant Gishに統括を任せるとアナウンスした。GishはFoxアニメ在籍中に「ボブズ・バーガーズ」や「アメリカン・ダッド」などの人気作品を手がけていた。

バイアコムCBSは今後、大人向けアニメへの注力を進め、MTVが過去に製作した名作を復活させていく考えだ。

バイアコムCBSエンターテインメント&ユースグループのChris McCarthyは「この業界の競争は激化しているが、豊富なIPを抱える当社は非常に優位なポジションに立っている」と述べた。「我々のチームはここ数年、過去のIPの精査を進め、新しい世代にむけてそれらを復活させ、新たな顧客にアピールしようと考えた」

ここ数年、大人向けアニメは好調が続いており、ネットフリックスで配信中の「ボージャック・ホースマン」や「リック・アンド・モーティ」「トゥカ&バーティー」などの作品の風変わりでシュールな世界観が好評を博している。また、「サウスパーク」や「ボブズ・バーガーズ」などの人気シリーズは、ストリーミングの定番作品となっている。

新型コロナウイルスのパンデミックを受けて、実写版の映画やドラマの製作には遅延が生じているが、アニメ作品の製作はそのような制限を受けない点もメリットと言えそうだ。

さらに、大人向けアニメへの注力は、MTVが本来備えていた、メインストリームカルチャーへの対抗心を取り戻すことにもつながるとMcCarthyは述べている。

「大人向けのアニメは我々のルーツとも言える。MTVは1980年代にアダルトアニメーションというジャンルを復活させた。そして、『ザ・シンプソンズ』や『ビーバス・アンド・バットヘッド』などの人気作品が生まれた。MTVの創業者は、アニメは常にロックンロールと共にあると述べていた」

ジェネレーションXと呼ばれる1960年代に生まれた世代が愛した作品が、ストリーミング全盛の現代に復活を遂げるのは興味深い現象だ。これらの大人向けアニメが世代を超えて評価されることを期待したい。

編集=上田裕資

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