その後、彼が立ち上げたスタートアップ「コマザ(Komaza)」は今年7月のシリーズBラウンドで、2800万ドル(約29億円)のエクイティ出資を獲得した。今回のラウンドにはNovastar Venturesや、オランダの開発銀行FMOなどが参加した。
コマザのビジネスモデルをハワードは「林業版のエアビーアンドビー」と呼んでいる。利用されていない土地を持つ農家は、コマザの指導のもとで苗木を植える。その後、長い年月をかけて木々が育ち、伐採されると彼らに報酬が支払われるのだ。
ハワードは2014年のフォーブスの30アンダー30の、社会起業家部門に選出された。「当社は林業のサプライチェーンと連携し、ケニア最大の苗木のプラットフォームを運営している」と彼は話す。
農家はいったん苗生を植えれば、雑草が生えないように管理するだけでよく、その他の日々の仕事に専念できるという。「時間はかかるが、そこで育つ木々は農家にとって大切な資産となる」
木々が十分に育ったら、コマザの伐採チームが収穫し、材木に加工した後に、アフリカの各都市に運んでいく。「アフリカでは今後の数十年の間、成長が続くことが見込まれ、建築や家具向けの木材の需要は伸び続けていく」とハワードは話す。
コマザは現在、2種類の木材の苗生を植えている。床材や家具向けに利用されるマホガニー材の原料となるMelia volkensiiと、工業分野向けのユーカリの木だ。同社はこれまで2万世帯以上の小規模農家と提携し、300万本以上の苗木を、5000ヘクタールを超える面積に植樹してきたという。
エアビーアンドビーは、自社では土地や建物を保有せずに事業を運営しているが、コマザもそれと同じスタイルで林業を行っているとハワードは語る。「農家は当社とパートナーシップを結び、土地を提供し、苗木の世話をすることで報酬が得られる」
コマザは以前は、沿岸部のキリフィという小さな町を拠点としていたが、最近になって首都のナイロビに移転し、約450人の社員を抱えている。同社のCFOは三菱商事出身の熊平智伸が務めている。
コマザが創業後の10年間で調達した資金は500万ドルだったが、2017年のシリーズAで1000万ドルを調達していた。