・新型コロナウイルスの大流行により、世界中の中小企業が大きな打撃を受けています。
・従来の融資モデルは、急成長を遂げている新興国の中小企業が資金調達をする際の障壁となっていました。
・フィンテックをベースとした新たなアプローチは、資金調達上の困難を解消し、パンデミック収束後の経済回復を後押しすることができます。
新型コロナは世界中の中小企業に大打撃
新型コロナウイルスの影響により、世界中の中小企業が極めて大きな打撃を受けています。勇敢な医療従事者や政策立案者たちが、世界中でこのパンデミックに対処している一方で、近年急成長を遂げてきた新興国の中小企業は、需要の減少、分断されたサプライチェーン、資金繰りの悪化に直面し、極めて厳しい環境下にあります。
中小企業は、ほとんどの国におけるGDPの半分以上を占め、雇用のほぼ7割をもたらし、その成長は世界にとって欠かせません。そして今、中小企業の従業員やコミュニティを支え、そのサービスを必要とする何百万もの人々に希望を与えるために、中小企業に必要な財政的支援が行われることが、急務となっています。
新型コロナウイルスの大流行以前も、新興国の中小企業のうち、成長に必要な借入を利用できていたのは全体の15%未満。経済を抑制し、雇用と富の創出を妨げる要因となっていました。国際金融公社(IFC)によると、こうした新興国市場における、中小企業のまだ満たされていない資金調達ニーズは、毎年5.2兆ドルに達しています。新型コロナウイルスの大流行を受けて、この資金調達格差は大幅に広がることになるでしょう。
現代の中小企業にはミスマッチな従来の融資方法
従来の融資方法では、中小企業が借入をしにくいという問題を解決できておらず、現代の中小企業の実態にも合っていません。新興国の中小企業経営者は、融資を受けるための担保をほとんど保有していない上に、金融機関の支店を訪れる時間すらないことも多く、不確実な可能性のために6~8週間も待つことができません。例えば、ナイジェリアでは、正式なローンを組んだことのある中小企業は全体の7%未満で、50000ドル未満のローン申請が受理されることはほとんどありません。