SNSマーケティングを社会学的に考える

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SNSは人と人とのつながりを開拓するものだ。この連載で扱ってきたテーマも、まさにそのつながりのありかたへの関心に基づいて選ばれてきた。…であれば、実は避けては通れないテーマがある。そう、男性と女性の出会い=マッチングだ。

ここですぐに注記しておくべきは、SNSはもちろん、インターネット黎明期からこのマッチングというテーマは不可欠のものだったということだ。先日上梓した『SNS変遷史』でも、SNSの原型(のひとつ)といわれる「SocialNet.com」は男女の出会いを創出することをサービスの主な機能にしていたことを論じている。

また、世界最大のSNSであるFacebookも「Facebook Dating」という機能を現在開発していることも、その証明の一つになるだろう。Facebook上で好意を寄せる相手を登録しておけば、相手も同様に自分をリストに加えた際に、両者にそれが通知される機能になると言われている。もちろん、これによって、ユーザーがもっとアクティブにFacebookを使ってくれるようになるはずだ、という目論見が背後にある。

今回は、若年層を中心にオンラインでのマッチングにいかになじみあるものになっているかについて、そしてそこで影響力を持ち始めている「PUA」という存在について考えることが主題となる。PUAはPick Up Artistの頭字語(アクロニム)で、日本の文脈に直すと「凄腕ナンパ師」ということになる。魅力的な女性を選ぶ(Pick UPする)スキルを持つ人々という意味だ。「ナンパ師」という言葉からは路上でたくみに声をかけて…というイメージが連想されるが、いまはそれがマッチングアプリなどオンライン上での出会いにもフィールドが広がってきているし、むしろそこを主戦場にする者も多い。

一部のPUAのまわりには、PUAインフルエンサー達とそれにあこがれるフォロワーがつくりだすコミュニティが形成されている。noteの販売や実地講習代のようなかたちでお金も実際に動いており、その意味では経済圏が生まれているとも言えるだろう──もっとも、「モテコンサル」のような広義の男女の出会いプロデューサーを含めれば、それはさらに大きなまとまりの単位となる。

そのような現象をとっかかりに、私たちはこのマッチングアプリ全盛の時代において男女の出会いをどう考えていくべきなのか、順を追って考察していきたい。

マッチングアプリの存在感の高まりと地域差


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マッチングアプリの存在感は高まり続けており、そこで出会うことへの抵抗感も徐々に目立たないものになってきている。

かつてはオンラインで男女が出会う場は「出会い系サイト/サービス」と呼ばれていて、否定的な印象が付帯するものだった。現実には異性との出会いがないような人々が、ウェブ上でつながっていくという語感もあり、世間一般的には「怪しい」という印象がつきまとっていた。

しかしながら、マッチングアプリはそのオシャレさや手軽さも含めた言葉の響きに加えて、より意義のある点と点をつなぐ=マッチングのための場だというニュアンスがある。また、FacebookやTwitterなどSNSでの認証連携が進んだことも敷居を下げることに寄与していた。身元が分かるということが下地になって、多くの人が安心感を持ってエントリーすることができたのだ。

そしてスマホアプリであることから、位置情報の近さからマッチングする候補を選ぶようなサービスも人気を博しており、現実の生活の中に自然と溶け込むようなイメージとともに、若い人々がカジュアルに活用するようになっていった。

そんなマッチングアプリの現状に関して、興味深い調査結果がある。スナップレイスは2019年12月に「デート」に関する調査結果を発表した(12月実施のネット調査、全国47都道府県の10~60代の約3000人が回答)。回答者の属性は女性が72%、男性が28%。年齢は20代が45%、次に30代が35%、40代が15%という内訳になっている。

出会い方は上位から、以下のような分布となっている。
第一位:職場・学校 36.9%
第二位:友人・知人の紹介 18.2%
第三位:マッチングアプリ 12.1%
第四位:合コン 8.9%
第五位:部活・サークル/バイト 4.6%
第七位:その他SNS 3.5%

文=天野 彬

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