エクストラクション社は2012年、当時まだ26歳だったオーウェンズと、ガスコ・エナジーで彼の上司だったマーク・エリクソンが創業。2016年に新規株式公開(IPO)を果たし、時価総額はほどなくして40億ドル(現在のレートで約4300億円)まで急拡大した。
それ以来、商品相場の乱高下にさらされつつ、オーウェンズはデンバー・ジュールズバーグ盆地のワッテンバーグ鉱区で油井数百カ所の掘削や水圧破砕(フラッキング)を監督。2020年3月にエリクソンからCEOを引き継いだばかりだった。
エクストラクション社の生産量は2019年末には日量10万バレルを超えていたが、最近は9万バレルに減少。原油価格が振るわないなか掘削活動を減らしており、生産量はさらに落ちてきていた。時価総額もわずか7800万ドルまで縮小していた。
2019年には石油・ガス資産の減損損失が響き、過去最悪の14億ドルの純損失を計上した。以前は管理できていた債務の負担が重くなり、5月には約15億ドルにのぼる債務の金利1500万ドルの返済を見合わせていた。
エクストラクション社の負債額は、今年に入って破綻した石油会社のなかでもかなり大きい。一方で同社は今年に入り、残留特別手当として幹部16人に計670万ドルの支払いを発表しており、オーウェンズもその恩恵を受けている。
原油価格は30ドル台で低迷しており、石油会社の破綻は今後も続く可能性がある。