だが、白人警官が「チョークホールド(絞め技)」で黒人男性を死に至らしめた例は今回が初めてなわけではないのだ。
2014年7月にも同様の事件が
日本では必ずしも大きく報道されなかったが、2014年7月、ニューヨーク・スタテンアイランドで、黒人男性エリック・ガーナーの逮捕の際、白人警察官が彼の首を腕で絞めて死亡させている。ガーナーが路上に倒れてなお警察官がチョークホールドし続けるなど、一部始終が動画に収められていること、そしてガーナーが"I can’t breathe"とうめいたことまで、今回のケースと同じだ。遺族は訴訟を提訴。2015年、ニューヨーク市が和解金約6億2880万円を支払うことで「収束」した。
2014年7月当時のニューヨーク市内。エリック・ガーナーの肖像が貼られている(Getty Images)
この白人警官はその後、どう「処分」されたのか。米メディア「CNN International」によれば事件後、警察官ダニエル・パンタレオは内勤に配置転換されたのち、ニューヨーク市警察によって5年後の2019年8月、解雇されている。ニューヨーク州大陪審と連邦地検はともに、「証拠不十分」で起訴を見送った。なお米メディア「nbcnewyork」によれば、パンタレオはその後10月、復職を求めて不服の訴えを起こしている。
2014年7月当時のデモ(Getty Images)
なお「aljazeera.com」によれば、米国内では、2013年〜2019年に7666人が警官に撃たれて亡くなっている。その内訳を見ると、黒人は白人の実に2.5倍だ。
なぜ、警官に「甘い」のか
今回の警察官たちの「処分」も気になるところだ。逮捕されたのは、今のところ関与した警察官4人のうち、デレク・ショービン1人だ。
米紙「ワシントン・ポスト」5月30日オンライン記事によると、今回の事件に関与した警察官のデータを調べたところ、ショービンには19年のキャリアの中で17件、市民からの「苦情」が寄せられているという。内容の詳細は記録に残されておらず、そのうち16件については「懲罰なし」だった。