──反対に、軽井沢のリゾートライフに課題を感じる部分はありますか。
現時点では、あまり課題に感じることはありません。軽井沢に移住された私と同世代のご夫婦も、軽井沢はもっとも暮らしやすい別荘地だとおっしゃっていました。彼らは実際に、熱海や伊豆、那須、葉山などの別荘地に赴いて、いろんな軸で各地を比較されたんです。
例えば熱海だと、別荘地がある北の方から駅がある南の方まで車で少し時間がかかるので、子供の送り迎えは難しくなります。他の地域では、小学校や幼稚園、習い事が見つかりづらいという課題が見えてきたのだそう。自然が豊かで教育環境が整っていて、さらに交通の便が良い別荘地というのは、軽井沢の他になかなかありません。軽井沢から東京まで新幹線で約1時間ですし、仕事面でも不便はないと思います。
──人脈づくりやコミュニティという視点ではいかがでしょうか。例えば東京には、すぐ近くに知人や友人、同僚がいますよね。
そうですね……。たしかにそこは課題かもしれません。今は子供が保育園に行っているので先生との繫がりはありますが、軽井沢現地のコミュニティに入っているかと言われたら、入りきれていないというのが正直なところです。
ただ、軽井沢は移住者や二拠点生活を送る方が多いので、疎外感を感じたことはありません。別の地域に移住された方から、噂がすぐに広まって嫌だったという話を聞いたことがあるのですが、人付き合いの煩わしさを感じたこともないので、それは軽井沢の良いところだと思っています。
──このコロナショックをきっかけに、ますます多くの人が仕事や生活の拠点を地方に分散化するような気がします。そうなると、地域の受け入れ方も重要になってくると思うのですが、どのようにお考えですか。
地方活性化には「よそ者、若者、バカ者」の3つが必要だと言われていますよね。軽井沢の場合、先ほど申し上げたとおり、住んでいるのはよそ者ばかりですし、外国人も多い。そこが、他の地域と大きく違うポイントです。よそ者といわれる移住者に対する拒否感が小さければ小さいほど、移住者側は暮らしやすいのかなと。
また、若者の存在もキーになると思っています。というのも、私は数年前から熱海にも何度か訪れているのですが、そこでは市来広一郎さんというまちおこしをされている若い男性が一緒に街を歩いてくださりました。彼の案内のおかげで熱海を良く知ることができ、好きになることができました。だから若い方がUターンやIターンで地方に戻り、ネットワークのハブの役割を担っていると、そのコミュニティに入り込むハードルは下がる気がしています。
市来さんはシェアハウスやゲストハウスもされているので、そこに若者が集まるという流れができているのですが、若者に限らず私たち世代にとっても、若い方がその街にいることでコミュニティに入り込みやすくなると実感しています。