西尾曰く、これまで濱田は株主が持っている知見やノウハウを、事業成長に繋がるよう引き出して変換することができていなかったそうで、株主には報告義務だけを負っているような関係性になっていたという。そこに西尾が「考え方を変えて、株主とはこんな風にやりとりすることで、経営の意思決定をする上での選択肢を最適化したり、その精度とスピードを最大限に高めることができる」といったアドバイスを実際の事象ごとに具体的に伝えることで、経営者としての濱田の成長にも貢献している。
「西尾さんがいることで、経営の解像度がグッと上がるのを感じています。これまではどちらかというと、株主への対応には義務感のようなものを抱いてしまっていて、本来経営者として生かすべき円滑なコミュニケーションを引き出せていなかったところがあったのですが、西尾さんがコミュニケーション面もサポートくださることで、とても勉強になっています」(濱田)
今後は「アパレル」も取り扱い開始予定
経験の少ない起業家にとって、起業家の先輩でもある“シリアルアントレプレナー”が経営に参画してくれることは、事業を成長させていく上で非常に追い風となる。経営体制を強化し、社名を変更することで、まずは信頼性および透明性の高いスニーカー取引と相場の実現に注力していくという。
「今後、より一層強化するべきポイントは、ユーザーが安心・安全に取引できる環境づくりです。モノカブの価値はユーザーから商品を預かり、しっかり鑑定する点にあります。鑑定の価値も強化し、“スニーカーを売買するならモノカブ”というポジションをまずはしっかりと築いていくことが最優先であると、と思っています」(西尾)
「まずは当たり前に安心して売買できるマーケットプレイスになるために、質の高い鑑定に加えて、カスタマーサクセスの体制も引き続き強化していきます。そして、価格変動の傾向などのデータも今後より一層大切になってくると考えています。例えば、ブランドにデータを提供することでリセールに生かしていただいたり、新商品の開発や販売方法を変えたりしていくことも可能であり、とても面白いものになるのではないかな、と思っています。
いまのスニーカー販売方法ではお客様が発売日当日に店頭に並ぶしかなく、そこにいわゆる転売ヤーたちが行列をつくってしまってはブランドのイメージが損なわれる可能性もある。そんな状況も改善できるように、サービスを提供しながらより良い販売方法を模索していけたら、と考えています」(濱田)
また、スニーカーのイメージが強くなっているモノカブだが、今後は新たなジャンルとして「アパレル」取扱いも近々開始する予定だという。スニーカーから始まった、“モノの株式化”という前代未聞の挑戦は、今後さらに広がりを見せていきそうだ。