モノの株式化を実現したい──こうした思いから、“モノカブ”が出来上がった。数ある商材の中から、最初にスニーカーを選択した理由は「価格の変動幅が大きいから」だという。
「最初の商材は価格の変動幅が大きいモノが良いと思い、さまざまな分野を調べていく中でスニーカーの場合、変動の機会が多く、その幅も大きいということに気づきました。もちろん、StockXやGOATなど、海外では当時すでに先行しているサービスがあり、ずっとベンチマークしていました。
また、日本はハイテクスニーカーブームの火付け役となった“Air Max 95”が発売されて以降、A BATHING APEやヘクティクなど、ストリートカルチャーの強い裏原系ブランドがいくつも生まれてきました。もともと、そうしたストリートカルチャーが強く、一定のスニーカーファンがいることも見えていたので、スニーカーから始めることに決めました」(濱田)
実際、濱田によれば2017年発売のスニーカーの価格が2万円とすると、1年後には20万円、3年後には50万円になるなど、10Xから25Xほどの価格変動があるという。
シリアルアントレプレナーの経験を、いまの起業家に
今回、社外取締役に就任した西尾が、モノカブに関わり始めたのは2018年5月にエンジェル投資家として出資したときからだ。当時は「少し伸びているくらい」の成長率だったそうだが、投資を実行した数カ月後から数字が急激に伸び始め、「スニーカーが持つポテンシャルの高さにとにかく驚いた」と西尾は語る。
「創業から半年くらいのフェーズの企業は試行錯誤しつつ、良いジャンルを見つけて勝ち筋を掘り当てていくもの。きっとスニーカーは事業を始めるきっかけに過ぎず、今後は別の商材でグロースのポイントを探っていくのかと思っていたら、実際はまったく違いました。
なぜ、ここまで急速に成長したのか。その理由は熱量の高いスニーカーコミュニティに対して刺さるソリューションが提供できたことが何より大きかったと考えています。海外ではStockXなどのサービスが先行しているものの、国内向けにローカライズしたオペレーションを築いているところはなかった。そこにいち早く挑戦し、デファクトスタンダードになったからこそ、モノカブは日本のスニーカーファンに受け入れられ、高い成長率を維持してこれたのかもしれないと振り返っています」(西尾)
これまでエンジェル投資家としてハンズオンで、濱田の相談に乗っていた西尾だが、今後はより密なコミュニケーションをとってサポートしていくという。
「自分自身、M&Aを通して売る側も買う側の経験もしてきましたし、グノシーの執行役員として上場企業の事業成長にも携わっています。そういった経験をもとに今後、濱田さんが事業と組織を伸ばしてしていくにあたって障害となるであろう壁に先回りして、それを乗り越えるための要素を整理・検討するのと同時に、必要とされる心構えのインストールもしていきたいと思っています」