パンデミック後の景気動向
UBSのマーク・ヘーフェレ(Mark Haefele)最高投資責任者は、景気回復の3つのシナリオと、それぞれにおける投資すべき対象について、次のように概説した。
1. 順調に回復するケース:景気循環株やバリュー株を買う
「景気が順調に回復する」シナリオでは、最近の米国の経済再始動を受けて、6月には景気が回復に転じ、2度目のロックダウンは起こらないと想定している。
このシナリオは楽観的すぎるかもしれない。とりわけ、秋に新型コロナウイルス流行の第2波が発生した場合は、2度目のロックダウンを余儀なくされると予測する者も多い。
景気が順調に回復する場合に買うべき銘柄は?
・景気循環株やバリュー株
・大型株より中型株に注目
景気が順調に回復する場合に恩恵を受けるセクターは?
・エネルギー
・自動車
・飲料
・小売
2. 基本的見通しの場合:社債などに投資するクレジット投資を行い、以下のセクターに焦点を当てる
基本ケースのシナリオでは、米国各州の経済再始動が夏のあいだに始まると想定している。ヘーフェレの想定によれば、この場合、経済成長がパンデミック以前の水準に戻るのは12月になる。
景気回復が基本的見通しの場合、株式投資とクレジット投資のどちらを重視すべきか?
・クレジット投資に重きをおく
・金融政策によって、さまざまな信用度の投資先が選べる
・例:投資適格債、高利回りの新興市場など
景気回復が基本的見通しの場合、恩恵を受けるセクターは?
・ヘルスケア(医療・製薬)
・オートメーション
・サイバーセキュリティ
・Eコマース
・サステナブル投資
3. 回復が難しい場合:金を買う
不況が続くシナリオの可能性も高い。要因としては、失業者の増加、再就職の遅れ、株価の下落、ボラティリティの高まり、債務不履行や倒産の増加などが考えられる。
不況時にはなぜ金が良い投資先になるのか
昔から金は、不況時の安全な避難場所と考えられている。米ドルの価値が低下し、米国の債務が増加し続ければ、金の価格は上昇する可能性がある。ヘーフェレはまた、インフレに対抗するために物価連動米国債(TIPS)を買うことを推奨している。
不況時でも成長が見込める3つのセクター
UBSは、新型コロナウイルスのパンデミックのあとで成長が見込めるセクターとして、以下の3つを挙げている。
・食品:植物由来の代替肉とフードデリバリー
・ヘルステック:遠隔医療と遺伝子治療
・オートメーション:倉庫管理のオートメーションとオンラインショッピング