米国のデータから見る、一般的な疾患を根絶させたワクチンの力

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現在世界では、非常に多くの人が新型コロナウイルスに感染している。新型コロナウイルスの急速なまん延は、病気の大流行を防ぐ上でのワクチン重要性をさらに明らかにしてくれるものだ。

医療関係者や科学者は、新型コロナウイルスに適したワクチンの開発を急いでおり、40の国々や寄付者らが研究開発資金として80億ドル(約8600億円)を約束している。

ワクチンの歴史は実は長く、先日なんと224年の記念日を迎えた。最初のワクチンは英医師のエドワード・ジェンナーによるものとされるのが一般的で、1796年5月14日に初めて使用された。

ジェンナーは医学生だったときに、乳搾りをする女性は、症状がほとんど出ない牛痘に感染していて、牛痘よりもはるかに致死率が高い天然痘にかかることが抑制されているようだということに気づいた。そのため、ジェンナーは牛痘の水ぶくれから分泌液を抽出し、ジェームズ・フィップスという8歳の男の子の腕の切り口に注入した。

その後7月1日、ジェンナーが男の子に天然痘の膿(うみ)を注入したところ、男の子は天然痘への免疫を示した。欧州中の医師らは間もなくジェンナーの手法を採用し、天然痘の罹患(りかん)率が大きく減少した。

米疾病対策センター(CDC)のデータからは、米国でこれまで長年にわたり主要な病気を根絶させる上で、ワクチンがどれほど大きな効果を発揮したかが示されている。エドワード・ジェンナーの時代に多くの人を死に至らしめた天然痘が良い例だ。CDCのデータでは、20世紀の年間罹患数は2万9000件だったのに対し、2019年には全く症例が確認されなかった。ワクチンのおかげで100%の減少が見られたのだ。

また、人類を悩ませた、他の命に関わる病気でも同じパターンが見られる。20世紀に米国での感染者が年間53万人を少し超えた、はしかがその一つだ。米国では2019年、一部地域での再燃(反ワクチンの意思決定が主な理由)により、1287件が確認された。それでも、CDCによると罹患数は99%減っている。百日咳やおたふくかぜ、風疹、ポリオ、ジフテリアなど他の多くの病気も、ワクチンによって根絶したか激減した。

翻訳・編集=出田静

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