そして、まさにこのデータ集約こそ、先述の4つのキーワードとともに、新型コロナウイルスによるロックダウンの段階的解除を前に生まれた、イタリア初の多様なアイデアの基盤となっている(半永久使用が可能な「ドロップマスク」も、その一例だ)。
カラフルな円形信号機「セイフティ・ドット」
なかでも注目されるのは、人々の動きをコントロールする信号機的な視覚サイン「セイフティ・ドット(Safety Pois)」。
Courtesy Safety Pois
この「セイフティ・ドット」は、まさにこの時期、人々が抱いているいくつかの疑問に答えるかたちで生まれた。たとえば、「どうしたら人だかりを避けられるか?」という疑問や、「人の流れをより適切に調整できて、特定の空間内での行動の仕方を明確に提示するにはどうしたらいいか?」という疑問だ。
「セイフティ・ドット」は、床面に配置された人の流れを誘導する視覚サインで、これにならって動いたり立ち止まったりすることで、自動的に、かつ効果的に安全な対人距離を維持することができるというもの。そして、ルールはただひとつ。「1つのドットを踏めるのは、一度に1人」だ。
3色の円形信号機でフロアは「チェスボード」に
デジタルなプラットフォームを使うなど、枠にとらわれないコミュニケーション型イベントを企画するイタリア企業「TCommunication」が特許権を取得し、新型コロナウイルス対策として健康を守るために必要な行動規範のために実現されたこの「セイフティ・ドット」は、直径50cmの緑、黄、赤の円形を1.5m間隔でフロアに配置した、動きの基点を示すシグナルシステム。そこにはまさに「信号機」のような機能が託されている。
これらのドットは、安全な対人距離を示して碁盤の目を形成し、推奨される動き方をわかりやすく表示する。こうして、フロアはカラフルなチェスボードと化し、赤は「次のドットが空くまで待機」、黄色は「いったん立ち止まる」(この“チェスボード”上では、たとえばスーパーの陳列棚の前や、美術館での美術作品の前などに、立ち止まることのできるポイントが設置されている)、そして緑は「自由に進む」だ。
Tcommunicationのアイデアは、だれにでも即座に理解できるアナログのソリューションで、コロナ危機による安全措置にも適応しているうえ、GPSによる感染追跡システムの利用を避けられるかもしれないという意味で、プライバシーも保護してくれそうだ。