──フロントエンジンに後輪駆動を組み合わせていて、前席の後にブリーフケースやボストンバッグを置けるスペースを確保したグランドツアラーですね。スタイリングは新鮮でしょうか。
見るべきものがありました。マンツォーニ氏によると、250GTベルリネッタ・ルッソ(1958年)や250GT2+2(60年)といった歴史的なフェラーリのGTモデルの流れにあるスタイリングだとか。いずれにしても「ローマ」は、フロントグリルをはじめ各部の強い視覚的表現は抑え、プロポーションの美しさで印象づけようとしている点が、なにより魅力的です。
コクーン(繭)を模したデザインの車内では、ドライバーとパッセンジャーそれぞれがゆったりと過ごすことができる。
──フェラーリのひとたちからは「エレガンス」という言葉が何度も出てきましたが、これからのスポーツGTでは大事なキーワードなのでしょうか。
見るからに空力がよさそうなF1マシンのようなデザインは飽きられているのではないかと思います。1930年代から50年代にかけての欧州のグランドツアラーの優雅なイメージをうまく盛りこむのが、いまのスポーツカーデザインに大事なことなのでしょう。その意味でも「ローマ」はトレンドに先んじているように思います。
ロゴや派手な空力外装を控えたエレガントなシルエットが特徴だ。
──性能も向上しているようです。従来の「ポルトフィーノ」と基本的には同じ3855ccV型8気筒ターボエンジンですが、出力は20CV(イタリア式馬力)上がって620CV(456kW)になっているし、ツインクラッチの変速機も7段から8段へと変更。
技術部門を統括する技術部門ミハエル・ヒューゴ・ライターズ氏は、「ローマでは、じつは空力をかなり考えているし、さまざまな新しい技術を採用して、最高のドライビングができることを狙っています」と教えてくれました。さらに、もうひとつ興味深かったことがあります。「ローマはフェラーリ初心者、あるいは、スポーツカー初心者にも受け入れてもらえるぐらい、乗りやすさを重視してセッティングしています」と前出のガレリア氏が語ったことです。まさに新しい時代のフェラーリです。
会場を闊歩する若い二人のモデルの姿は、この車のターゲットが若い顧客層であることを象徴する。
会場は1960年にローマオリンピックが開催された「ストゥディオ・オリンピコ・ディ・ローマ」
フェラーリ
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