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AI通信「こんなとこにも人工知能」

MONOPOLY919 / shutterstock.com

人工知能(AI)を農業の生産性向上のために使う試みは世界各地で広く行われており、その多様性は現在進行形で増え続けている。

最近では、農機大手のクボタが、米農業スタートアップ・ファームXに3億円を投資。AIを使った農作物の「生産計画」を立てる事業を開始するとしている。ファームXは、センサーとAIで農地や作物の状態を分析。気候データなどと組み合わせることで、農家の生産性を向上させるソリューションを提供している。クボタは同社の技術を応用することで、農業のIT化を推進する計画だという。

農業にAIやIT技術を組み込む世界各地の試みの目的には、ひとつの共通点がある。それは、農地や作物の状況を可視化することで、これまで「篤農家」と呼ばれていた人たちのノウハウをデジタル上にコピーし、作業の自動化を実現しようとものだ。言い換えれば、農家自身が抱えていた課題の解決にフォーカスが充てられていることになる。

一方、農家と小売事業者、もしくはユーザーを繋ぐシステムにもAIが使われ始めた。

韓国では4月から、農産物の価格予測情報をリアルタイムで算出するシステムが公開されている。これは国および民間研究機関の基礎データ、農産物の卸売価格、気象情報などビッグデータを組み合わせAIで解析。7日後までの予測価格、予測価格変動率、価格決定要因分析レポートなどを提供するというものだ。

同システムを使えば、卸売市場の競売価格を正確に算出することができるとされており、それぞれゴマの葉94.75%、イチゴ93.5%、ニラ92.8%、青唐辛子90.73%の精度を担保しているという。また、予測した10品目のうち、レタスとパプリカを除いた8品目で80%以上の精度を実現した。

立ち止まって考えてみれば、農作物の生産性をただ上げるだけでは農家の利益向上において片手落ちだ。サプライチェーン全体の可視化や販売価格の予測が成り立ってこそ、需給を加味した生産量のコントロールが可能になる。

農家は必要なものを必要な分だけ作り、余った労力は作物の競争力UPや他のビジネスに注ぐことができる。需給がマッチし廃棄が少なくなれば、消費者にとっては質が良い農作物を安価に手に入れることにも繋がるだろう。

生産から流通・販売・消費まで、農業のすべてをブラッシュアップするAIの登場が待たれる。

連載:AI通信「こんなとこにも人工知能」
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文=河 鐘基

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