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スタートアップ企業の多くが新型コロナウイルスの感染拡大により、企業価値を低迷させる中で、ニューヨーク本拠のデータストレージ企業「VAST Data」がユニコーンの仲間入りを果たした。

VAST Dataは4月16日、企業価値12億ドルで1億ドル(約108億円)を調達したとアナウンスした。同社のシリーズC資金調達は、シーメンスの投資部門Next47が主導し、デルテクノロジーズやゴールドマン・サックス、83Northらが新規で出資した。VAST Dataは今から17カ月前に初のプロダクト「Universal Storage」を公開したばかりだ。

VAST Dataの12億ドルという企業価値は、新型コロナウイルスの研究を加速させる政府や企業らの需要の高まりを反映している。アメリカ国立衛生研究所(NIH)やバイオテック企業のGinkgo Bioworks、ハーバード大学の研究チームが、VAST Dataのテクノロジーを用い、パンデミックと戦う研究を進めている。

「ワクチンの開発に向けては巨大なコンピューティングパワーが必要になる。研究者は膨大なデータ解析や、遺伝子のシーケンスを迅速に行う必要がある。その上でストレージは重要な役割を果たす」と、VAST Dataの創業者でCEOのRenen Hallakは述べた。

HallakはVAST Dataを創業する前に、現在はデルの傘下となったイスラエルのスタートアップXtremIOで、R&D部門の責任者を務めていた。企業向けにストレージを提供するXtremIOの売上が2015年に10億ドルを突破した直後に、Hallakは同社を離れ、自身で起業した。

Hallakはその後、企業のITマネージャーらにヒアリングを行い、今後の5年から10年で必要になるソリューションが、低コストで巨大なデータにアクセスできるストレージであることを突き止めた。

しかし、VAST Dataがわずかな期間で企業価値10億ドル超えを達成できた背景には、Hallakがインテルやメラノックスなどのハードウェア企業に聞き取りを行い、今後の数年で利用可能になるハードをいち早く知っていたことがあげられる。

「彼らはまだ開発中だったハードを我々にこっそり教えてくれた。これらの機器が実用化された際に、対応するアーキテクチャやストレージシステムを真っ先にリリースできるようにね」とHallakは、フォーブスの取材に明かした。

「私たちのチームは、ハードの完成を待たずにシステムの開発を進めた。そして、2018年になってハードが完成した」

未来を予見していたVAST Dataは、その同じ年にベータ版のシステムを公開し、翌年には正式版をリリースした。新たなハードとシステムの組み合わせによって、低コストで巨大なデータへのアクセスが可能になった。累計で1億8000万ドルを調達済みのVAST Dataは、Zebra Medicalと数百万ドルの契約を結び、他にも十数社と契約を結んでいる。

VAST Dataは今回調達した資金を、新規のシステム開発や人員の拡大にあてるという。

「スタートアップ業界ではコスト削減やレイオフの流れも起きているが、当社はそれとは真逆のスタンスをとっている」とHallakは述べた。現在145人を抱えるVAST Dataは、新規で100人を採用しようとしている。

「当社は今、ほぼ無限大の成長ポテンシャルを視野に入れている」とHallakは続けた。

編集=上田裕資

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