まず、米国の従業員を対象に、処方薬の費用抑制や服薬アドヒアランスの向上のための新しい方法を試し、それを足がかりにヘルスケア事業に進出していくという、アマゾンの取り組みの最新の動きとの見方も出ている。
アマゾンは2018年1月、ウォーレン・バフェット率いる米投資・保険会社のバークシャー・ハサウェイ、米金融大手のJPモルガン・チェースと組んで、3社の従業員計100万人以上のヘルスケア向上を目的としたヘルスケア企業を設立すると発表していた。同年にはピルパックを買収し、成長する米処方薬ビジネスへの、規制上、貴重な入り口を確保している。
アマゾンの従業員向けウェブサイトでは、デラウェア、フロリダ、カンザス、ネバダの4州では、4月1日から、米保険会社プリメーラ・ブルー・クロスの医療保険に入っている従業員は、処方箋プランのPBMがエクスプレス・スクリプツからアールエクスアドバンスに変わると告知されている。
「ピルパック・バイ・アマゾン・ファーマシー」の広報担当者は、ピルパックがこの切り替えに関わることを認め、「ピルパックはアールエクスアドバンスとともにネットワーク内の薬局になっており、メンバーにサービスを提供するのを楽しみにしている」と述べている。
関係筋によると、今回の決定は当面のところ、アマゾンの一部の従業員にとっては試験的なものという位置づけだという。
プリメーラ・ブルー・クロスはアマゾンの多くの従業員に医療給付を提供している。アマゾンでのビジネスを失うことは、プリメーラ親会社の米シグナにとって差し当たり大きな損失ではないものの、PBM市場の激化を示すものと言える。
PBMは薬剤メーカー側と患者側の間に入って薬価を交渉し、処方薬を大量発注する購買力を生かして、患者や雇用主のためにメーカーからより良い割引を引き出そうとする。関係筋によると、アマゾンの今回の切り替えに当たっては10社超が提案依頼を受けたという。
アールエクスアドバンスはクラウドベースのPBMを武器に急成長を遂げており、米医療保険会社のセンティーンも昨年から利用を始めている。